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テロメアが短い人は風邪を引きやすい!

病気

Posted on 2013.2.21

病気
テロメアは染色体の末端にある染色体を保護する役目を持つ構造物ですが、最近の研究でこのテロメアが短いことは、細胞の寿命が短くなっていること、つまりその生物の余命が短いことを予測することが知られています。
例えばテロメアが同年齢の人よりも短いことは、老化が早いことを示しており、加齢に伴い発症リスクが高まる病気、心血管疾患やがんなどの発症リスクが高く、死亡リスクが高まっていると考えられています。
さてこのように中高年の加齢の度合いを測るバイオマーカーとして研究されることが多いテロメアですが、米国・ペンシルベニア州ピッツバーグ市カーネギーメロン大学のSheldon Cohen博士らがJAMA 2013年2月20日号に発表した研究で、テロメアの短い青年は風邪を引きやすいことが明らかになりました。
博士らはテロメアと疾患の関係に関する研究が、中年期以降に加齢とともに発症リスクの高まるものが多かったため、年齢が若い段階での影響の有無を調査する目的で、実験を行いました。
実験は白血球のテロメアの長さが既に測定されている152人の健康な18~55歳を対象に、実験室で被験者の鼻に一般的な風邪の症状を引き起こすライノウィルスを点鼻液に含ませて塗布するというもので、被験者はその後5日間に渡り発症状況と症状が観察されました。
テロメアの長さと罹患状況の関係を分析した結果、被験者全体としてテロメアの短い人はより風邪にかかりやすいことが分かりました。
さらに年齢の違いも含んで分析した結果、18~21歳まではテロメアの長さは風邪の罹患率に影響していませんでしたが、22歳以上では風邪のひきやすさに影響があり、年齢が上がるほど影響が大きくなることが明らかになりました。
特に白血球のうちCD8CD28-T細胞のテロメアの長さが深く関係していることが分かりました。このCD8CD28-T細胞のテロメアに関しては短くなると免疫応答性が減少することが知られていました。
博士らは今後はテロメアの長さがどのように感染症に対する免疫システムの応答性に影響を与えているのかについて研究をすすめたいとしています。
JAMA 2013年2月20日号