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摂食障害患者の過度な運動は自殺の予兆!

病気運動

Posted on 2013.5.7



摂食障害は重篤な場合は死に至る疾患ですが、こうした摂食障害の患者は多くの場合、摂食障害ではない人々と比べて、過度に痩せた体型を美しいと感じる身体認知の歪み、ボディ・イメージの障害を持っているといわれています。

こうした身体認知の歪みを背景としてやせるために、より過剰な節食、拒食に陥るだけではなく、過度な運動を行う場合もあります。

米国・オハイオ州オックスフォードにあるマイアミ大学のApril R. Smith博士らがPsychiatry Research 2013年4月30日号に発表した研究で、摂食障害患者の過度な運動は自殺の予兆であることが明らかになりました。

自殺研究の第一人者で「人はなぜ自殺するのか」の著者であるフロリダ州立大学のトーマス・ジョイナー教授によると、自殺者には自傷・自殺未遂など恐怖や痛みを伴う体験を繰り返すことで身につく自殺を決行するに至る能力である「身についた自殺潜在能力」があるとしていますが、今回の研究でApril R. Smith博士らは、摂食障害患者の過度な運動は上記の「身についた自殺潜在能力」と密接な関係があることを明らかにしています。

博士らは今回の研究で摂食障害患者と女子大生を対象に4回(調査対象者は合計1354人)の調査を実施し、過食と過度な運動と「身についた自殺潜在能力」と実際の自殺企図の関係を分析した結果、非常に危険な摂食障害患者の過度な運動が苦痛と苦痛に対する耐性に結びつき、それが「身についた自殺潜在能力」に収束していくことが分かったとしています。

Psychiatry Research 2013年4月30日号