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高齢者の貧血は認知症リスクを高める可能性あり

病気脳

Posted on 2013.8.24

高齢者の貧血が長期間にわたる認知症のリスクを高めている可能性があることが、カリフォルニア大学サンフランシスコ校のKristine Yaffe博士らの研究で明らかになり、2013年8月6日の『Neurology』で発表されました。
この研究は70~79歳、2552人を11年間フォローアップ調査したもので、WHOの定めた貧血の基準値である、ヘモグロビン濃度男性13g/dl、女性12g/dl未満を貧血グループとして分析したものです。
その結果、研究開始当時に貧血があった人は、貧血がなかった人に比べて64%も認知症になるリスクが高かったことがわかりました。
この結果について研究者らは、長く続く貧血によって、酸素を運ぶヘモグロビンが不足し、脳が慢性的な低酸素状態になっていることが認知機能の低下を引き起こしている可能性や、貧血に関係が深い鉄やビタミンB12などの欠乏も認知機能の低下を早めている可能性があるのではないかと指摘しています。
Hong CH, et al "Anemia and risk of dementia in older adults: Findings from the Health ABC study" Neurology 2013; 81: 528-533.