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都会人のアレルギー・ぜんそく増加は農村部の微生物との接触不足が原因?

病気

Posted on 2014.4.28

dbt026-s都会人にぜんそくやアレルギーが増えているのは、都会に住む人が、農村地域に存在する微生物に接触していないことで、免疫システムが十分に機能しなくなっ てしまったことと関係しているかもしれないことが、米国コロラド大学の研究で明らかになり、2014年4月号の『Clinical & Experimentai Immunology』で報告されました。私たちの腸には、100種類以上の腸内細菌が、実に100兆個以上 も棲んでおり、その量は1キロ以上もあることがわかっています。ヒトの細胞が約60兆個ということは、細胞の数よりたくさんの腸内細菌が体内に生息してい ることになり、私たちは他の微生物と共存していることになります。さらに他にも皮膚や至る所に微生物は共存していますね。今回の研究で は、都会の生活スタイルによって、進化の歴史の中で生きるために受け継いできた、共存微生物との接触が著しく減ってしまったことで、従来兼ね備えていた、 微生物や異物に対する免疫システムが働かなくなり、ぜんそくやアレルギー、過敏性腸症候群など、慢性的な炎症が引き起こす病気が、増えているのではないか と推察しています。都会に住んでいても、自然環境と親しむ時間を大切にすることが、免疫システムの機能を保ち、健康に大きなプラスになりそうです。
Microbial “Old Friends”, immunoregulation and socio-economic status. Clinical & Experimental Immunology, 2014