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腸内細菌がヒトの食事の好みまで変えてしまう

病気食

Posted on 2014.9.26

腸内細菌の働きが注目されていますが、カリフォルニア大学サンフランシスコ校の研究によると、腸内細菌がヒトの食事の好みまで変えてしまう可能性があることを2014年8月号の『Bio Essay』で発表しました。
昔から、海苔や海藻を好んで食べる日本人だけに、海藻類を分解してエネルギーに換える消化酵素を腸内細菌が作り出すことは知られていました。
今 回の研究では、脂っこい食事や甘いお菓子などを食べ続けていると、腸内細菌の構成が変化し、脂っこいものや甘いものを分解しやすい状態になってしまい、さ らに腸内細菌が、もっとたくさんの脂っこい食事や甘い食べ物を食べるように、腸管にある迷走神経にシグナルを出して、そのシグナルが神経系を介して、脳に 到達し、宿主であるヒトに対して、もっと甘くて脂っこい食事が食べたくなるようにコントロールしている可能性があると指摘しています。
研 究者らは、このような腸内細菌の働きが影響して、食習慣を見直すのが難しくなったり、悪いものを食べないように好みを変えるのを難しくしているのではない かと指摘した上で、例えばさっぱりした低カロリーの食事を好む人の腸内細菌に入れ替えることで、食習慣の改善も容易になるかもしれないと述べています。
Is eating behavior manipulated by the gastrointestinal microbiota? Evolutionary pressures and potential mechanisms. BioEssays, 2014o0800040013044941087
This image illustrates the relationship between gut bacteria and unhealthy eating. Credit: Courtesy of UC San Francisco