コラムColumn

親知らずから角膜再生

病気

Posted on 2015.6.16

phm06_0362-s角膜は眼球の前方の、いわゆる「黒目」にあるレンズのような働きをしている部分で、血管がなく、無色透明な組織で、コラーゲン繊維でできています。 角膜は、光を眼球内に透過させて、光を屈折させて網膜に像が結ばれるのを助けている、ものが見えるためにとても重要な役割を担っています。
角膜はわずか0.5mmの薄い膜で、細菌やウイルス感染、外傷、遺伝的な疾患などによって、角膜が濁ったり、変形することで視力が失われ、角膜移植が必要になることがあります。
角 膜移植は、ドナーによって提供される角膜を患者さんに移植していますが、ドナー不足と拒絶反応などのリスクなどが問題になっています。これを解消するため に、アメリカペンシルベニア州のピッツバーグ大学医学部で、第三大臼歯(親知らず)の歯髄幹細胞を、角膜に注入することで、角膜の再生が可能になるかもし れないことを、マウスを用いた実験で明らかにしました。親知らずの歯髄細胞は、角膜の再生に必要なⅠ型コラーゲンと角膜実質細胞を作り出す能力を持ち、こ れを利用することで、角膜の再生が可能になるのではないかと期待されています。
Syed-Picard FN, Du Y, Lathrop KL, Mann MM, Funderburgh ML, Funderburgh JL.  “Dental pulp stem cells: a new cellular resource for corneal stromal regeneration.”  Stem Cells Transl Med. 2015 Mar;4(3):276-85.