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血圧の日常変動が認知症発症リスクと関係

病気

Posted on 2017.8.20

日常の血圧変動が大きいと認知症の発症リスクが高まることが、日本人を対象とした研究(久山町研究)で明らかになり、2017年8月の『Circulation』で発表されました。

この研究は、認知症のない60歳以上の男女1674人(平均年齢71歳、女性55.9&)を2007年~2012年の5年間、自宅で毎朝3回測定してもらい、調査をした結果によるもの。

経過観察中に194人(男性72人、女性122人)が認知症を発症し、そのうち47人が血管性認知症、134人がアルツハイマー型認知症でした。

家庭で毎朝測定した血圧の数値を、血圧が135mmHg以上と未満、血圧の変動が多いグループと少ないグループに分類して、認知症の発症との関連性を分析した結果、家庭血圧の日々の変動が大きいことが認知症リスクと関係していることがわかりました。

さらにアルツハイマー型認知症の発症リスクは、血圧の値に関係なく、日々の変動が大きいことが関係し、血管性認知症の場合は、血圧変動が大きい、または血圧の数値が高いことが発症リスクと関係していることが明らかになりました。

今までの研究では、高血圧と認知症のリスクの研究はありましたが、日々の血圧の変動と認知症の発症リスクの関係について調べたものは今回が初めてで、日々の血圧変動が認知症予防の介入目標の1つになる可能性について示唆しています。

『Circulation』,2017 Aug 8;136(6):516-525.