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しゃがんだりひざまずく姿勢は健康をもたらす

病気運動

Posted on 2020.3.15

最近では、うまくしゃがめない人が多いことが指摘されていますが、米国南カリフォルニア大学などの研究によると、しゃがんだりひざまずく姿勢は、座る姿勢よりも下肢の筋肉を使うため、進化論的に人に健康をもたらすことが明らかになり、2020年3月9日付の『Proceeding of the National Academy of Sciences』で報告されました。

この研究は、タンザニアの狩猟民族グループであるハザ族の研究を16年間にわたって続けてきた結果によるもので、ハザ族にはイスに座る習慣がなく、休息をとるときに、しゃがんだり、ひざまずいたりすることで、結果的に下肢の筋肉運動を続けていることが多く、これがハザ族の中に生活習慣病の人がいないことと関係している可能性があると指摘しています。

さらに、現代人はイスという便利な道具を手に入れたため、今では1日約9時間も座ったまま時間を費やしており、エネルギーの節約にはなるものの、それが仇となって、筋力の低下や代謝異常、慢性疾患などが増加しているため、少しでも座り続ける時間を少なくして、低レベルの筋肉活動を必要とするしゃがむ、ひざまずくなどの姿勢をとることを推奨しています。

【出典】 David A. Raichlen, Herman Pontzer, Theodore W. Zderic, Jacob A. Harris, Audax Z. P. Mabulla, Marc T. Hamilton, Brian M. Wood. Sitting, squatting, and the evolutionary biology of human inactivity. Proceedings of the National Academy of Sciences, 2020; 201911868 DOI: 10.1073/pnas.1911868117