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腸内細菌叢指数(GMHI)で健康状態がわかる

病気肥満食

Posted on 2020.9.21

健康状態がわかる腸内細菌叢指数(GMHI)を開発

近年のさまざまな研究で、食中毒、便秘、下痢などの腸に関わる病気はもちろん、腸と直接関係しない様々な病気、たとえばメタボリックシンドローム、心筋梗塞、脳梗塞、アレルギー、関節リウマチ、パーキンソン病、がんなどと、腸内細菌叢との関係が指摘されています。そんな中、腸内細菌叢の分析で、健康な人と健康でない人を73.7%の精度で判別できる新しい指数「腸内細菌叢指数(Gut Micribiome Health Index:GMHI)が開発され、米国メイヨークリニックの新しい研究として、2020年9月15日付の科学雑誌『Nature Communications』で発表されています。この研究は、4347件の便に含まれる腸内細菌を分析したサンプルを含む34の先行研究を分析したもの。その結果、健康な人に共通する腸内細菌の種類を特定し、50種類の腸内細菌をマーカーとすることで、その人が健康であるか、健康ではなく何らかの疾患を抱えているか、体重が正常範囲内であるか、などが73.7%の精度で判別できたということです。さらに今回の研究では、GMHIが高い(腸内細菌叢が健康である)ほど、HDL(善玉)コレステロールの数値が高いことも明らかになりました。研究者は、腸内細菌叢が全身の組織の管理に関わっている可能性を指摘し、GMHIをさらに発展させて、疾患予防のためのスクリーニングに貢献できるよう活用すること、腸内細菌叢の変調を通じて健康を維持、回復するための治療法を見つけ出す手がかりとなる可能性があることなどについて言及しています。

【出典】 Vinod K. Gupta, Minsuk Kim, Utpal Bakshi, Kevin Y. Cunningham, John M. Davis, Konstantinos N. Lazaridis, Heidi Nelson, Nicholas Chia, Jaeyun Sung. A predictive index for health status using species-level gut microbiome profiling. Nature Communications, 2020; 11 (1) DOI: 10.1038/s41467-020-18476-8