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高血糖は脳機能低下リスクを高める

病気老化脳

Posted on 2021.3.31

中高年以降に高血糖のままでいることは、脳機能の低下を引き起こすリスクを高めることがイギリスのユニヴァーシティ・カレッジ・ロンドンの研究で明らかになり、2021年1月の『Diabetes, Obesity and Metabolizm』で発表されました。

この研究は平均年齢58歳の約50万人のイギリス人のデータ(UK Biobank)を分析し、 HbA1cが6.0~6.5%の前糖尿病レベルの血糖値の人は、血糖値が正常な人に比べて、1.39倍ほど認知機能低下リスクが高いことが明らかになりました。糖尿病と診断された人(HbA1cが6.5%以上)の認知機能低下レベルが1.42倍なので、糖尿病とは診断されていない人も認知症と診断された人と同程度の認知機能低下のリスクがあるということです。

また今回の研究データの中で、脳のMRI画像を撮影した35,418人を調べてみると、前糖尿病レベルの人は、短期記憶をつかさどる脳の海馬の体積が、血糖値が正常な人に比べて小さいことも明らかになりました。

研究者は、 糖尿病と診断されていない高血糖の人は、油断することなく、健康的でバランスの取れた食事をとり、運動して健康的な体重を維持し、2型糖尿病を予防することが認知症予防にもつながると指摘しています。

【出典】Victoria Garfield, Aliki‐Eleni Farmaki, Sophie V. Eastwood, Rohini Mathur, Christopher T. Rentsch, Krishnan Bhaskaran, Liam Smeeth, Nish Chaturvedi. Brain health across the entire glycaemic spectrum: the UK Biobank. Diabetes, Obesity and Metabolism, 2021; DOI: 10.1111/dom.14321