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食後血糖値の大幅な低下が食べすぎと肥満を引き起こす

病気老化食

Posted on 2021.9.30

食後の数時間後に血糖値が大幅に低下する人は、空腹感を感じやすいことが、イギリスのキングスカレッジ・ロンドンの研究で明らかになり、2021年4月21日付の「Nature metabolism」に掲載されました。この研究は1070人の血糖値データと、朝食のデータなどを分析したもの。食後2~4時間で血糖値の低下レベルを分類し、最も急速・大幅に低下したグループは、標準的な低下を示すグループに比べて、空腹感が9%も増加し、1日の消費カロリーが食後血糖値の低下が緩やかな人よりも約312キロカロリーも多くなり、年に約1キロも太ってしまう可能性がありました。血糖値が空腹感の抑制に重要な役割を果たしているという仮説はとても有名ですが、以前の研究結果には決定的なものがありませんでした。今回の研究では、 参加者が同じ食事を食べたときに何が起こるかを比較し、血糖反応に大きな違いがあることが明らかになりました。さらに年齢、体重、BMIと、食後血糖値の低下速度に相関関係がないことがわかり、男性は平均して女性よりもわずかに食後血糖値の低下が大きいことがわかりました。 これらの発見は、食後血糖値と空腹感、食べ過ぎなどの関係を知ることができ、人々が自分の体重と長期的な健康を理解し、それをコントロールするのに役立つと言えます。

【出典】Patrick Wyatt, Sarah E. Berry, Graham Finlayson, Ruairi O’Driscoll, George Hadjigeorgiou, David A. Drew, Haya Al Khatib, Long H. Nguyen, Inbar Linenberg, Andrew T. Chan, Tim D. Spector, Paul W. Franks, Jonathan Wolf, John Blundell, Ana M. Valdes. Postprandial glycaemic dips predict appetite and energy intake in healthy individuals. Nature Metabolism, 2021; DOI: 10.1038/s42255-021-00383-x