コラムColumn

運動はうつ症状を改善

病気脳運動

Posted on 2022.4.5

米国アイオワ州立大学の研究によると、約30分間の運動は、うつ病の症状を軽減し、治療の効果を高める可能性があることが明らかになり、2022年3月の「Frontier in Psychiatry」、「Psychology of Sport and Exercise」に掲載されました。この研究ではうつ病を経験している30人の成人を対象に実験を行いました。被験者は、中程度の強度のサイクリングまたは座った状態の30分間の運動セッションを行い、運動直前、セッション中、セッション終了25分後、50分後、75分後にアンケート調査を実施しました。調査の内容は、うつ病の症状に関する質問と、いくつかの認知課題を測定するために使用される標準的な質問などが含まれていました。サイクリング運動調査の結果は、参加者の抑うつ気分状態が、30分間の運動で改善し、その後75分まで一貫して改善しました。無快感症の改善は運動後75分で低下し始めましたが、それでも運動をしなかったグループの参加者の無快感症のレベルよりは良かったこともわかりました。さらに運動後に1時間のオンラインによる認知行動療法を受けた5人の被験者は、この治療を受けなかった被験者に比べてうつ症状のより顕著な現象を示しました。この結果について研究者は、運動はうつ症状を改善し、治療効果を高めることが明らかになり、今後は被験者を増やして大規模な調査を行い、運動による症状改善効果がどの程度持続するかを調べて、実際の治療に役立てていくと述べています。

【出典】

  1. Jacob D. Meyer, Thomas A. Murray, Cassandra S. Brower, Gabriel A. Cruz-Maldonado, Maria L. Perez, Laura D. Ellingson, Nathaniel G. Wade. Magnitude, timing and duration of mood state and cognitive effects of acute moderate exercise in major depressive disorder. Psychology of Sport and Exercise, 2022; 61: 102172 DOI: 10.1016/j.psychsport.2022.102172
  2. Jacob D. Meyer, Seana L. Perkins, Cassandra S. Brower, Jeni Lansing, Julia A. Slocum, Emily B. Kroska, Thomas A. Murray, Duck-Chul Lee and Nathaniel G. Wade. Feasibility of an exercise and CBT intervention for treatment of depression: a pilot randomized controlled trial. Frontiers in Psychiatry, 2022 (provisionally accepted) [abstract]