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運動は大腸がんリスクを低下

病気老化運動

Posted on 2022.4.22

英国ニューカッスル大学の研究で、長期的に運動を続けることが、大腸がん発症リスクを低下させ、さらに腫瘍の成長を遅らせることがわかり、2022年4月の「International Journal of Cancer」に掲載されました。この研究は、50歳~80歳の肥満がある男性16人を被験者として、適度な負荷のかかる屋内での自転車こぎ運動を継続的に行ってもらう前後で血液サンプルの採取、アンケート調査などを行いました。さらに被験者の運動前後の血液サンプルを使って、大腸がん細胞の増殖の状態を観察しました。その結果、運動後の血液には、継続的な運動で放出されるIL-6というがん細胞の増殖を抑制するタンパク質が増加していることがわかり、実際の被験者の運動後の血液サンプルでも、がん細胞の増殖が抑制されていることが明らかになりました。研究者は、今回の研究成果は、肥満者にとっては難しいケースが多い減量などをせずに運動を継続したり、運動時に放出されるIL-6などによって、大腸がんの発症を抑制したり、進行を抑制できる可能性を発見した点で影響が大きいと期待しています。一方でIL-6の過剰な分泌は炎症を引き起こすことからも、どの程度の運動をすることでがんを抑制するための適度なIL-6が分泌されるかなどを研究していくそうです。

【出典】 Samuel T. Orange, Alastair R. Jordan, Adam Odell, Owen Kavanagh, Kirsty M. Hicks, Tristan Eaglen, Stephen Todryk, John M. Saxton. Acute aerobic exercise‐conditioned serum reduces colon cancer cell proliferation in vitro through interleukin‐6‐induced regulation of DNA damage. International Journal of Cancer, 2022; DOI: 10.1002/ijc.33982