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微小プラスチックは細胞に侵入し活性酸素を増やす

病気老化食

Posted on 2022.9.18

ほとんど目に見えないプラスチック片を無意識のうちに食べたり、飲んだり、吸い込んだりするとどうなりますか?これが実際に人間にどのような影響を与えるかは不明ですが、研究者は現在、その質問に答えるために一歩踏み出しています.チームは現在、小さなプラスチック粒子が肝臓や肺の細胞に入り込み、通常のプロセスを混乱させ、健康に悪影響を与える可能性があることを示す実験結果を報告しています.

プラスチックは日常生活で避けて通ることはできません。なぜなら私たちが家庭に持ち込む多くの製品は、プラスチックでできているか、プラスチックのパッケージに包まれているからです。これらは細かく粉砕されてマイクロおよびナノメートルサイズの破片を放出するため、食物連鎖で動物やヒトが口に入れたり、空気中に飛散して吸い込んだりする可能性があり、健康への悪影響が懸念されています。

 

一般的にマイクロプラスチックを 100nm~5mm、ナノプラスチックは 100nm以下と分類されています。ナノプラスチックの摂取による人間への健康リスクは完全には明らかではありませんが、香港バプティスト大学の研究で、幅 100 nm 未満の粒子が動物の血液や臓器に入り、炎症、毒性、神経学的変化を引き起こす可能性があることを示し、2022年9月の「Environmental Science & Technology」に発表されました。

 

この研究では、ヒトの肺細胞と肝臓細胞がナノプラスチックにさらされたときの分子レベルおよび代謝への影響を調べました。
研究者は、実験用プレートでヒトの肝臓と肺の細胞を別々に培養し、さまざまな量の幅 80 nm のプラスチック粒子が細胞内に侵入するようすを観察しました。 2日後、電子顕微鏡画像は、ナノプラスチックが両方のタイプの細胞を殺すことなく侵入したことを示しました。さらにナノプラスティックの侵入によって、細胞に何が起こったのかをより詳しく知るために、代謝中にミトコンドリア によって放出される化合物を調べました。

 

その結果、肝臓と肺の細胞がより多くのナノプラスチックにさらされると、それらはより多くの活性酸素種と異なる量のヌクレオチド、ヌクレオシド、アミノ酸、ペプチド、カルボン酸を生成し、複数の代謝プロセスの正常な働きが素材されたことを示しました。細胞によってはミトコンドリアが機能していないように見えるものもありました。これらの観察結果は、ナノプラスチックへの曝露がヒトの肺や肝臓の細胞を殺すことはないが、重要なプロセスを混乱させ、臓器に悪影響を与える可能性があることを示している、と研究者は述べています。

 

【出典】 Siyi Lin, Hongna Zhang, Chen Wang, Xiu-Li Su, Yuanyuan Song, Pengfei Wu, Zhu Yang, Ming-Hung Wong, Zongwei Cai, Chunmiao Zheng. Metabolomics Reveal Nanoplastic-Induced Mitochondrial Damage in Human Liver and Lung Cells. Environmental Science & Technology, 2022; 56 (17): 12483 DOI: 10.1021/acs.est.2c03980