コラムColumn

自尊心と肥満の関係

心理教育、子育て肥満

Posted on 2009.9.19

         
 
イギリスの医学雑誌『BMCMedicine』10月号に、ロンドンキングスカレッジ心理研究所のアンドリュー・テルモス博士らが報告した研究によると、幼少期を幸せに送れずに育った人(特に女性)は、大人になってから体重増加や肥満になるリスクが高いそうです。

これは、イギリスとウエールズで1970年に生まれた16496人を対象に行った調査で、今回の調査はそのうちの6500人のデータを分析したものだそうです。

彼らの10歳のときの感情面での問題を分析した結果や、不安・恐怖心・こだわりの強さなどに関する教師の評価、子ども自身の報告、自己統制の位置(いろいろな事件や事の起こりの原因が、自分にあるか他人にあるかという評価、簡単に言うと、すぐ自分のせいにするか他人のせいにするかという傾向…ということでしょうか)などについて分析しました。質問がおもしろいです。たとえば「あなたは、一生懸命努力しても、結局いい結果にはならないので努力することに意味がないと考えますか?」というようなことを質問したようです。

その結果、自尊心が低く、すぐ他人のせいにしてしまう傾向があり、不安や心配する気持ちが強かった子供は、大人になってから体重が増加するリスクが高く、その傾向は男性よりも女性に顕著に見られたそうです。

また子供の頃BMIが高かったり、親のBMIが高ければ、30歳にかった時点のBMIも高い傾向にあることもわかりました。

イギリスだけのデータで、地域も限定されていますし、幼少期の不幸に関する評価に関しても、いろいろ偏りはあると思いますが、心と肥満は強く結びついていることを気づかせてくれる研究だと思います。

Source:BMC Medicine