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【メディカル】階段や坂が実際より急に見える理由!

心理

Posted on 2011.2.16

skiウィンター・スポーツ真っ盛りの季節になりました。スキー場でついウッカリ実力以上の急勾配コースと知らず、リフトに乗ってしまい、あまりの急坂で恐怖にかられ、命からがら降りてきた、などという経験のある方も多いことでしょう。
最 大斜度30度ということで、三角定規の一番小さい角度だ、大したことはないな、とリフトで登ってみたらまるで崖から落ちて行くような急角度に見えてしま う……、上り坂や長い階段が実際より急に感じられる……、こうした階段や坂が、実際よりも急な角度に見えるのは、なぜかという問題について、心理学者たち はこれまで疲労や恐怖感のバイアスにより、こうした現象が起きるのではないかと説明してきました。
米国・オハイオ州立大学のDennis Shaffer准教授らがPsychological Science 2011年2月号に発表した研究で、実は恐怖や疲労のバイアスによるものではなく、より基本的な注視角度に関する錯覚に基づいているので はないか、ということが明らかになりました。
准教授らは大学内を通行中の歩行者を対象に、200人2組になる実験を行いました。1組は階段 の角度(斜度25度)を、100人は上から見た角度、100人は下から見上げた角度を答えました。もう1組はエスカレーターの角度(斜度30度)を同様に 100人ずつが答えました。
実験の結果、階段は上から見たグループも、下から見たグループも同じで平均44度、エスカレーターも同様に平均48度と、過大に見積もられていました。
登るのに骨が折れそうであるとか(階段とエレベーターの違い)、恐怖を感じるか否か(上から見下ろすか、下から見上げるか)に関わらず、つまりそうした影響とは無関係に18-19度多めに見積もられる傾向があることがわかりました。
准教授によれば、こうした多めに角度を見積もる視覚バイアスは、学習によって是正され得るものであり、屋根職人は実際に正確に角度を見積もることができることがわかっているとしています。