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【メディカル】割りの悪い仕事は失業状態よりストレスが大きい

心理

Posted on 2011.3.16

shigoto割りの悪い仕事は失業しているよりもストレスが大きいことが、オーストラリア国立大学のPeter Butterworth博士らの研究によって、3月14日付のオンライン版Occupational and Environmental Medicineで発表されました。
この研究は、オーストラリアで2001年から行われた全国的な家計収入・労働状況に関する調査をもと に、7155人の回答者を少なくとも2回(平均6.2回)追跡調査、分析したもの。自分の仕事に関して4つの側面から評価して、否定的な側面が1つもない と回答した人が26.4%、1つだけあると回答した人が30.5%、5.7%が1つしか自分の仕事に関して肯定的な側面がないと回答しています。3%が期 間中ずっと失業しており、12.1%が調査中に失業期間があった人でした。
さらにメンタルヘルスの尺度として、精神的な健康度を測定するの にしばしば用いられるSF-36という質問項目を用いて、仕事とメンタルヘルスについて分析しました。SF-36は0~100点満点の中で、得点が高いほ ど、メンタルヘルスがいい状態にあると評価されます。質問項目は、「身体機能」「過去1ヵ月間の体の状態」「体の痛み」「全体的な健康状態」「活力」「家 族、友人、仲間との付き合いや心理的な状況」「仕事と精神的な状態」「全般的な心の健康」の8項目からなっています。
この調査を実施・分析した結果、仕事がある人の平均値が75.1、失業中の人が68.5、失業しているけれど仕事を探していない人は69.1でした。
さ らにこの結果を性別、年齢、経済的な困難の状況などを考慮して分析した結果、もっとも割の悪い仕事についている人は、失業している人よりも、スコアが 5.6ポイント低く、精神衛生上の質が低いことがわかりました。また仕事の質が向上することによって、スコアが平均3.3ポイント上昇することもわかりま した。
この結果から研究者らは、失業対策も大切である一方で、割りの悪い、満足度が低い仕事を続けることで、精神衛生が悪化して、メンタル ストレスが高まり、それによって病気が増えたりすれば、医療費がかかり、社会経済的にも、マイナスになってしまうため、労働環境や労働条件を整え、人々の 仕事の満足度を高めることも重要であるとしています。