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【メディカル】自尊心が低い人は、他人に対する偏見がひどい

心理

Posted on 2011.2.26

jisonsin米国・カリフォルニア大学デービス校のJeffrey Sherman教授らがPsychological Science 2011年2月11日オンライン版に発表した研究で、自己評価が低く、自尊心が低い人は、自分と異なる人に対しての偏見を持ちやすい傾向 があることが明らかになりました。
教授らはImplicit Association Test (IAT)という、言葉やイメージを使用して、潜在的(意識的には反応しない)な物事や人などに対する、その人の好き嫌いのような反応や態度を測定するテストを用いて、実験調査を行いました。
IAT はパソコンを使用してモニターに出現する「肯定的な言葉と白い顔(白人)」、「否定的な言葉と黒い顔(黒人)」、の組み合わせに、それぞれキーボードの E,Iのキーが割り当てられ、画面に現れた言葉や、画像に合わせてキーを押す(白と黒を入れ替えた合わせて2回)実験で、それぞれの相関性を調べるという ものでした。
このITA実験に先立ち、被験者は創造的思考が必要な12項目中、2つ以上は正解できない非常に難しい最初のテストを受けさせ られ、被験者の半分には平均9点のテストで自分の得点が2点以下であることが告げられ、実験上作為的に自己評価・自尊感情を傷つけ、低下させられていまし た(残りの半分の被験者には結果は後で伝えると言い渡してあり、自尊心は低下させませんでした)。
教授らがこの実験から得られたデータを分 析した結果、テストの成績が悪く、自己評価・自尊心が低下させられた被験者は、潜在的な偏見が強められており、その原因として否定的評価により自分自身の 自己評価・自尊心が、感情が傷つくことで、否定的に思える物事への連想が活性化(強化)されるためであることが、明らかになりました。
教授によると、これまでこうした自尊心の低下が偏見を高める理由として、自尊心の低下が偏見を抑えようとする気持ちを弱めるからではないか、という仮説がありましたが、今回の研究で、そうではないことが立証されたとしています。