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【メディカル】慢性的なかゆみは痛みと同じようにQOLを下げる

心理

Posted on 2011.7.5

kayumi誰もが慢性的な痛みについては注意を払いますが、慢性的なかゆみも、痛みと同様にQOLを下げることが、米国エモリー大学医学部の Suephy Chan博士らの研究で明らかになり、6月20日のオンライン版Archives of Dermatologyに発表されました。
こ の研究は、エモリー大学附属病院に通院する慢性疼痛患者138人と、慢性掻痒(そうよう)症の患者73人を対象に行ったもので、自分たちの抱える慢性的な 痛みや痒みから解放されるなら、平均余命をどれだけ短くしてもいいかという質問を中心に行われました。研究に協力した患者の半数が自分たちの症状が「中程 度」だと回答し、慢性疼痛グループの36%、掻痒症グループの28%が自分たちの症状が「かなり深刻」と回答しています。
研究者らによると、慢性疼痛症、もしくは皮膚掻痒症の患者で、かゆみに悩まされている人は、そのかゆみから逃れるために、健康な人よりも13%も短く、自分の人生を終わらせてしまいたいと考えているそうです。
また慢性疼痛を抱える患者は、自分たちが完全に健康を取り戻すために、27%も寿命を短くしてもいいと考えていることも判明しました。
さらに主観的な健康感に関する満足度を0から1の間で評価し、1が最も満足度が高いと規定し、分析した結果、慢性疼痛症の患者が0.77、慢性掻痒症の患者が0.88でした。
こ の結果について研究者らは、慢性疼痛については、その痛みや苦しみについてしばしば議論されるものの、慢性掻痒についてはその苦しみについてそれほど注目 されておらず、今後は、痒みについても痛みと同じ程度にQOLを下げることを理解し、特に急性の痒みと異なる治療の難しい慢性的な痛みが、抑うつ状態や不 眠など引き起こして、患者を悩ませていることを知るべきだと述べています。