コラムColumn

【ライフスタイル】じゃんけんをすると無意識に相手の真似をしてしまう!

心理

Posted on 2011.7.28

jyanken英国・University College LondonのRichard Cook博士らが、Proceedings of the Royal Society B 2011年7月20日オンライン版に発表した研究で、人はじゃんけんをするときに「あいこ」では損をしてしまうことがわかっていても、無意識のうち に、相手につられて同じ手を出してしまう傾向が強いことが明らかになりました。
博士らは45人の被験者を対象に、条件を変えてジャンケンす る実験を行いました。最初の実験では、被験者は2人でじゃんけんをする際に、2人とも目隠しをされた状態でじゃんけんをし、次の実験では、ペアの片方の人 だけが目隠しをしてじゃんけんをするというものでした。ただし実験に参加した被験者には、60回じゃんけん(勝負は1回出すだけ、あいこでも終了)をし て、最も勝ち数が多かった被験者が、賞金を貰えるインセンティブがあり、この条件で「あいこ」になることは、「負け」と同じで、トータルの勝利数を減らす 要因なので、避けるべき結果でした。
実験の結果、ペアの2人とも目隠しをしてじゃんけんを行った場合の結果は、確率で予想される勝ち、負け、あいこ、の出現率通りで3分の1ずつでした。
ところがペアの片方だけ目隠しをして行った実験結果では、目隠しをしていない相手が見える条件でじゃんけんをした側の被験者が、「あいこ」になる確率が統計的に有意に3分の1より高いことがわかりました。
特 に目隠し側が「グー」か「チョキ」を出した時に「あいこ」になりやすいこともわかりました。この結果について博士らは、人間は出生直後から、親の表情を自 動的に真似したり、周りの行動を模倣したりするようにプログラムされており、これは仲間の行動を模倣したり、共感したりする時に働く「ミラーニューロン」 システムによるものと考えられていますが、今回の実験から「あいこ」が意識的に避けるべきであるのに避けられないほど、無意識のうちに相手の行動を真似し てしまうバイアスは、強く人間の認知行動プログラムに組み込まれていることを立証できたとしています。