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【ライフスタイル】数学不安症を克服する方法が脳画像の研究で明らかになった!

心理

Posted on 2011.11.30

suuji学生時代に数学が苦手で、また悪い点数をとってしまうのではないかと数学のテストのたびに嫌な思いを味わったり、家で勉強している時 のように落ち着いていれば、ある程度できるはずなのに、試験前に緊張や不安感が高まって、結局どうにもならなかった、などという経験のある方も多いかと思 います。
心理学者のMark H. Ashcraft博士は、こうした数学不安を「数学の遂行能力を妨げる緊張、心配、恐怖の感情」と定義しています。こうした数学不安が心理学者によって定 義されているところを見ると、日米の文化の違いなのか、日本では人前で話さなくてはならない時の緊張や不安が強い学生、生徒が多いですが米国では数学の問 題を前にしたときに緊張、不安を感じる生徒が多く問題になっているのかもしれません。米国・シカゴ大学のSian Beilock博士らがCerebral Cortex 2011年10月20日オンライン版に発表した研究で、脳画像研究に基づく数学不安を克服するための方法が明らかになりました。
博 士らは数学不安が数学の点数の悪さに結びついているものの、数学不安を抱えている学生の全員の点数が低いわけではないことから、その違いがどこにあるのか を知るために、数学不安が高い学生と不安のない学生とを被験者として、これから数学の問題を解かなくてはならない、という事前の状態から、解答している状 態にかけての脳の活動変化をfMRI(機能的磁気共鳴画像法)を使用して分析しました。
分析の結果、数学不安が強い学生の中でも、注意の集中や情動のコントロールに関与する大脳の前頭葉と頭頂葉の皮質活動が数学の問題を解く前から活発になっている学生ほど点数が高く、不安のない学生に近い程度の結果であることがわかりました。
そして数学不安の強さと点数の高低は動機づけやリスク判断、報酬に関与する側坐核の活動と連動している事もわかりました。
この結果から博士らは、数学不安の学生には勉強することで克服させることよりも、テスト前に「できないかもしれない」という不安感情をコントロールする方法(不安症や恐怖症などの心理療法で用いられる手法など)を教えるほうが効果があることが明らかになったとしています。