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情報が多いと良い決断をするわけではない

心理

Posted on 2020.2.29

米国スティーブンス工科大学の研究によると、情報が多いほど良い決断ができるわけではないことがわかり、2020年2月13日付の『Congnitive Research; Principles and Implications』に掲載されました。

この研究は、約4000人を対象にAmazon Mechanical Turkというクラウドソーシングサービスを使って行った調査結果によるもの。人々がどのようにして因果情報を使用して、食事、健康、ファイナンス等の意思決定を行うかについて検証しました。

この結果、体重管理に関しては、情報が全くない場合よりも、情報がある場合の方が、人々は悪い意思決定を下してしまうことが示されました。さらに糖尿病になった場合の自己管理に関する意思決定に関しては、糖尿病ではない人の意思決定に関しては、情報が有益に使われる一方で、糖尿病の人にとっては、情報が悪い意思決定につながる可能性が判明しました。最後に退職後の金銭面でのやりくりに関する意思決定に関しては、新しい情報を知ることによって、より悪い意思決定をしてしまうことが明らかになりました。

この結果について研究者は、人は知識がない状態の場合、新しい情報を素直に受け取って、より良い意思決定に活用できますが、既にある病気に関する知識や経験を持っている、退職時期が近くふだんからそれについて考えているなど、病気とその治療法、退職後の生活設計についてある種の信念を持っている場合は、新しい情報が多すぎる場合に、それを素直に評価せずに、悪い意思決定を下してしまう可能性が生じるのではないかと述べています。

【出典】

Min Zheng, Jessecae K. Marsh, Jeffrey V. Nickerson, Samantha Kleinberg. How causal information affects decisions. Cognitive Research: Principles and Implications, 2020; 5 (1) DOI: 10.1186/s41235-020-0206-z