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希望を持ち続けるには「感謝」が重要

心理教育、子育て老化脳

Posted on 2021.2.3

英国エクセター大学の研究によると、人生に希望を持ち続けるためには感謝の気持ちが重要だということです。この研究成果はエクセター大学の研究者が長期間にわたり、大阪の商店街でフィールド調査をしてまとめたもので、2020年12月の『Anthropology & Aging』に掲載されました。

研究者は認知症になって子供たちに負担をかけたりするなど、将来への懸念はあるものの、調査対象地域の高齢者コミュニティの多くの人々が「静かな希望」を育んで、物事が「なんとなく」うまくいくと感じていること、将来の不確実性を受け入れつつ、より広いコミュニティに積極的に関与し続けることが、高齢者に安心感を与え、なんとなくうまくいくという自信を与えていると分析しました。

さらに、 日本人は幸せだと口に出すのを躊躇することが多い一方で、「ありがたい」、「感謝している」などの感謝の気持ちは頻繁に使う傾向があり、他人への依存は単なる負担や恥ずかしさではなく、人に助けられたことによる自分の人生への肯定感、満足感、幸福感を引き出し、感謝の気持ちによって人生を感動的で深く意味のあるものとして受け止めていると指摘します。そして他人から善意を受け取る感動、社会の相互依存関係に対する感謝の気持ちは、希望や生きがいの貴重な基盤となっていると分析しています。

【出典】

Iza Kavedzija. An Attitude of Gratitude: Older Japanese in the Hopeful Present. Anthropology & Aging, 2020; 41 (2): 59 DOI: 10.5195/aa.2020.244