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コロナ禍の孤独がうつ病リスクを高める

心理病気

Posted on 2021.3.25

英国エクセター大学、キングス・カレッジ・ロンドン(ロンドン大学)などの研究で、新型コロナウイルス感染症流行後の孤独な生活が、うつ病やその他の精神面での健康状態を悪化させていることが明らかになり、2021年1月の『International Psychogeriatrics』で発表されました。

この研究は2011年からスタートした「PROTECT」という2万5千人の英国在住の成人が登録している健康な老化に関する要因を研究するプロジェクトの過去のデータを用いて行われました。さらに2020年5月に「PROTECT」に参加している被験者1900人を含む合計3300人の50歳以上の参加者に、コロナ感染症の流行が健康と幸福感に与える影響についてのアンケート調査を行いました。

その結果、コロナ感染症によるロックダウン期間中に孤独感が増大し、身体活動が低下したことが、精神的な健康状態の低下とうつ病リスクの増大に関係していることが明らかになりました。研究者は、今回の研究成果にはコロナ禍による経済的困窮などの影響が含まれていないが、これを加味した場合にはさらにうつ病リスクが高まり、特に50歳以上では脳機能、認知機能を低下させることも十分考えられると述べています。

【出典】Byron Creese, Zunera Khan, William Henley, Siobhan O’Dwyer, Anne Corbett, Miguel Vasconcelos Da Silva, Kathryn Mills, Natalie Wright, Ingelin Testad, Dag Aarsland, Clive Ballard. Loneliness, physical activity and mental health during Covid-19: a longitudinal analysis of depression and anxiety in adults over 50 between 2015 and 2020. International Psychogeriatrics, 2020; 1 DOI: 10.1017/S1041610220004135