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過度な食品の宣伝が人を太らせる

心理肥満食

Posted on 2021.9.27

グルメ情報、食品の新製品情報など、食品マーケティングの情報が現代社会には溢れています。人が買い過ぎ、食べ過ぎ、太り過ぎてしまうのは、このような食品マーケティングの過度な広告戦略が原因の1つになっていることがカナダのブリティッシュ・コロンビア大学の研究によって明らかになり、2021年1月の「Journal of Consumers Psychology」に掲載されました。この研究によると、食品の情報や広告に関する関心の強さについて、病的肥満で胃を切除するなどの肥満外科手術を受けた人と、受けていない病的肥満の人を比べたところ、肥満外科手術を受けて体重が大幅に減少した人は、手術前に比べて食品の広告や情報への関心が劇的に低下し、痩せた人と同じ程度の低レベルの関心しか食品の情報に関心を持たなくなることが明らかになりました。特に肥満外科手術前には、自分の食べたカロリーを過小評価していた病的肥満の人は、手術後には痩せた人と同じレベルでカロリーを推計できるようになっていました。研究者は、食品の情報に関心が弱くなり、自分の接種しているカロリーを正しく評価できるようになることが、健康的な体重の維持につながるため、病的肥満の予防のためにも、過度に食品マーケティングの情報を流し続けることを規制する必要があると提案しています。

【出典】Yann Cornil, Hilke Plassmann, Judith Aron‐Wisnewsky, Christine Poitou‐Bernert, Karine Clément, Michèle Chabert, Pierre Chandon. Obesity and Responsiveness to Food Marketing Before and After Bariatric Surgery. Journal of Consumer Psychology, 2021; DOI: 10.1002/jcpy.1221