コラムColumn

不眠と燃え尽きがコロナ感染リスク、重症化リスクを高める

心理病気

Posted on 2021.10.31

不眠症、睡眠障害、燃え尽き症候群になると、新型コロナウイルスに感染するリスクが高くなり、さらに重症化して回復までの時間が長くかかることが米国ジョンズホプキンス大学の研究で明らかになり、2021年2月のオンライン版「BMJ Nutrition, Prevention & Health」で発表されました。
調査は2020年7月17日から9月25日の間に実施され、フランス、ドイツ、イタリア、スペイン、英国、米国の医療従事者を対象としています。回答者は、日常生活、健康、処方薬やサプリメントなどの栄養補助食品の使用に関する情報に加えて、睡眠障害、燃え尽き症候群、COVID-19感染に関する情報、さらに前年の夜間および昼寝時の睡眠時間に関する情報を提供しました。2884人の医療従事者が回答し、そのうち568人がCOVID-19に感染したことがありました。
これらの調査データを分析したところ、不眠症、睡眠障害、および燃え尽き症候群は、コロナウイルスに感染するリスクを高めるだけでなく、より重症化して治療期間が長くなるリスクを高めることがわかりました。さらに分析すると、夜間の睡眠時間が1時間増えるごとに、調査対象の医療従事者の感染確率が12%低下するという分析結果も明らかになりました。また燃え尽き症候群の症状があった医療従事者は、燃え尽き症候群の症状がない医療従事者に比べて、COVID-19に感染するリスクが2倍高く、重症化するリスクも3倍高いことがわかりました。
これらの結果に関するメカニズムについては、今回の研究では明らかになっていませんが、睡眠不足と睡眠障害は炎症誘発性サイトカインとヒスタミンを増加させることによって、免疫系に悪影響を与える可能性があるという仮説を研究者らが説明しました。
【出典】
Hyunju Kim, Sheila Hegde, Christine LaFiura, Madhunika Raghavan, Eric Luong, Susan Cheng, Casey M Rebholz, Sara B Seidelmann. COVID-19 illness in relation to sleep and burnout. BMJ Nutrition, Prevention & Health, 2021; bmjnph-2021-000228 DOI: 10.1136/bmjnph-2021-000228