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今食べたのもが次に食べたいものに影響する

心理美容老化肥満食

Posted on 2022.12.10

「昨日焼き肉を食べたから、今日はさっぱりしたものが食べたい」というように、食べたものの好みは前後に食べる者の種類に影響されます。このメカニズムについて米国カリフォルニア大学リバーサイド校のミバエを使った研究で明らかになり、2021年12月の「The Journal of Neuroscience」に掲載されました。
実験では、ミバエにバランスの取れた食事、糖分を減らしてタンパク質を増やした食事、砂糖を増やしてタンパク質を減らした食事など、3種類のエサを与えました。3つのエサはすべて同じカロリーに設定しました。この状態でミバエを1週間毎日テストして、餌の好みと味覚感度の変化を調べました。
その結果、エサによってハエの味の好みが変わることがわかり、炭水化物を抜いてタンパク質を多くしたエサを食べたミバエは、バランスの取れた食事を取り戻すために、より多くの炭水化物とより少ないタンパク質のエサを好んで食べるようになったということです。興味深いことに、バランスの取れていないエサを与えられたハエが、バランスの取れたエサに戻されると、味覚感度はベースラインレベルに戻り、味覚の好みの変化が可逆的であることを示唆しています。
このメカニズムについて研究者は、食事が脳内のドーパミンとインスリンのシグナル伝達に影響を及ぼし、それが次に、外部刺激の検出に直接関与するニューロンで構成されるハエの末梢感覚反応に影響を与えるのではないかと考察しています。
さらに研究者は、食事の好みに関する長期的な影響はより複雑になる可能性があると警告しました。たとえば、他の科学者の研究によると、高糖食で飼育されたハエは短期的には糖反応が低下しますが、長期的にはその高糖食を好み、より多く摂取することが確認されています。
ミバエの研究結果から推察すると、不健康なバランスの取れていない食事を長期間続けないことが重要だと言えそうです。

【出典】 Anindya Ganguly, Manali Dey, Christi Scott, Vi-Khoi Duong, Anupama Arun Dahanukar. Dietary Macronutrient Imbalances Lead to Compensatory Changes in Peripheral Taste via Independent Signaling Pathways. The Journal of Neuroscience, 2021; 41 (50): 10222 DOI: 10.1523/JNEUROSCI.2154-20.2021