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【メディカル】 マラソンでガス欠(ハンガーノック)を起こさないための、有酸素運動能力の数理モデルが解析される!

運動

Posted on 2010.10.24

run米国・ハーバード大学医学部とマサチューセッツ工科大学(MIT)の両大学で研究し、自分自身もボストンマラソンなどに参加するランナーでもある Benjamin Rapoport博士が、PLoS Computational Biology10月21日オンライン版に発表した研究によると、マラソンランナーがエネルギー切れを起こさないで走りきるためのペースは、そのランナーの最大酸素摂取量と足の筋肉量に基づいた数理モデルで予測できるということです。
これまでボストンマラソンやニューヨークシティマラソンなど15回のマラソンに参加し、自己ベストが2時間55分であるというRapoport博士はこれまでの自身の経験や周囲のランナーが、いわゆる日本のランナー用語でいうハンガーノック(米国ではhitting the wallと表現するようです、エネルギー不足のガス欠状態に陥り急激にペースダウンしてしまうことを言います)にどうしたらならないかを課題として、また博士によれば、ランナーの約40%はこの状態に陥り、1-2%は結果として途中棄権してしまうため、ランナー個人が自分の能力の限界を事前に知ることができれば、オーバーペースによる急激なペースダウンが避けられるはずであるとして研究しました。
研究の結果、彼の作った最大酸素摂取量と足の筋肉量による数理モデルで、その人に可能な最速ペースは予測でき、またハンガーノックを起こさないために摂取することが必要な糖質の量も予測可能になり、例えば彼のモデルによると、最大酸素摂取量が50ml/体重kg/分で、足の筋肉量が体重の15%、体重が70kgの男性が3時間10分でボストンマラソンを走りきる場合、体重1kg当たり10カロリーで合計700カロリーの糖質が筋肉と肝臓にグリコーゲンとして蓄えられている必要があるということだそうです。