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長距離走者はテロメアが長い!

運動

Posted on 2013.1.14


テロメアは染色体の末端にある構造で、このテロメアの長さと寿命には関係があることが研究から明らかにされ、長いほどその後の細胞の命が長く、個体として長寿になる可能性が高いこと示唆されていますが、ノルウェー科学技術大学のJavaid Nauman博士らが2012年12月26日付の PLoS Oneに発表した研究で、クロスカントリー・スキーや長距離走の選手は、競技スポーツに関わったことのない人々に比べて、テロメアが長いことが明らかになりました。

テロメアが早く短くなっている人は、ガンや心臓疾患、認知症のリスクが高く、短命になる可能性が高いと考えられています。

博士らは全身持久力の指標である最大酸素摂取量が高い人は、健康で長寿であることが、指摘されていることから、最大酸素摂取量が高い人とそうではない人のテロメアの長さを調査しました。

被験者はクロスカントリー.スキーと、長距離走の選手と、競技スポーツは何もしていない健康な人で青年グループ(22~27歳)各5人ずつ、同様に高齢者グループ(66~77歳)各5人ずつであり、博士らは彼らの最大酸素摂取量と筋肉細胞のテロメアの長さを分析しました。

また被験者は全員が喫煙経験もなく、心臓疾患や肥満と無縁の健康体でした。

分析の結果、高齢者グループの選手グループのテロメアが明らかに長く、被験者全体で最大酸素摂取量とテロメアの長さに相関関係があり、特に選手グループで、その相関関係が高いことが分かりました。

博士らはこの結果からサンプル数は少ないが、心肺機能を高め、最大酸素摂取量が大きくする持久系の運動は、高齢者の筋細胞のテロメアを保護する効果があるといえるのではないかとしています。

PLoS One 
2012年12月26日付