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【メディカル】脳への弱電刺激で人の名前が思い出しやすくなった!

Posted on 2010.10.14

namae米国・ペンシルベニア州フィラデルフィア市テンプル大学のIngrid Olson博士らがNeuropsychologia 10月号に発表した研究で、脳に弱い電気刺激を与えると、人の名前が思い出しやすくなることがわかりました。
博 士らはこれまでの研究から、脳の側頭葉前方部が人の名前を思い出すことに関して重要な機能を果たしている可能性が高いことから、この部分に電気刺激を与え ることで、名前が思い出しやすくなる可能性があると考え、実験を行ったということです。実験は15人の青年を被験者にして経頭蓋直流電気刺激 (transcranial direct current stimulation略してtDCS)という頭の左右に電極を当てて1-2ミリアンペアという弱い電流を流し続け、その間に彼らが知っている人物と、あ る程度有名な人物の写真と名所の写真とを複数枚見せ、その名前を思い出させるというもので、このとき流れる電流は頭皮と頭蓋を経て側頭葉前方部に電気刺激 を与え続けていました。この電気刺激は痛みも副作用もないと考えられています。
実験の結果、電気刺激により被験者の人名想起率は11%向上 しましたが、名所の名前の想起率は上昇しませんでした。この結果から博士は側頭葉前方部が人名の想起に関わっているけれど、名所の名前に関しては、関わっ ていないことが明らかになったとし、また弱い電気刺激が、被験者が名前を思い出そうとするときに適切なニューロンの発火をサポートしたために、このような 結果になったと考えられるとしています。
博士はさらに今後、電気刺激の効果の持続時間などを研究すれば、加齢とともに弱くなる人名想起力を向上させ、知っている人に出会ったときに名前が思い出せず、もどかしい思いをすることも少なくできるようになるのではないかとしています。