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【ボディワーク】プロボクシングは脳に危険なビジネス!

Posted on 2010.12.26

box傑作漫画「あしたのジョー」が、来年早々、2011年2月11日に実写映画として公開されます。主人公のボクサー・矢吹丈を演じるのは、ジャニーズ事務所所属で山P(やまぴー)の愛称で人気の、NEWSのメンバー、山下智久さん。
悲劇のヒーロー・矢吹丈はパンチドランカーになってしまい、それが物語をさらにドラマチックにしています。またコメディアンの故たこ八郎さんも、日本フライ 級王者斎藤清作として活躍しましたが、パンチドランカーとなって引退、後遺症に苦しみながらも芸能界で活躍されていたことを記憶されている方も多いと思い ます。
ドイツ・ミュンヘン工科大学のHans Förstl教授らがDeutsches Ärzteblatt International 11月26日号に発表した研究で、多く見積もると全体の20%のプロボクサーが神経精神病の続発症に悩まされていることが明 らかになりました。教授らは過去10年間に発表されたボクシングによって生じた急性型、亜急性型、慢性型の神経精神症状を研究した303件の論文を分析し ました。急性型の主なものは、ノックアウトされたことによる脳震盪など、亜急性型の主なものはパンチを受けたことによる持続性の頭痛、聴覚障害、吐き気、 ふらつき、物忘れなど。慢性型には振戦、構音障害、パーキンソン病、運動失調、記憶障害、認知症、うつ病、易怒性、嗜癖などでした。
分析の結果、研究対象の論文から推測して10%-20%のプロボクサーが、ボクサー特有の認知症(アルツハイマー型認知症と神経医学的には類似)、いわゆるパン チドランカー症候群など上記の慢性型に挙げられた持続的な神経精神医学的続発症(後遺症)に苦しんでおり、それらの症状が、長いプロボクサーのキャリアの 中で被ったパンチによる大脳の外傷が原因である可能性が非常に高いことがわかったということです。教授によればアマチュアボクサーはヘッドギアをつけ、毎 年定期的にまた試合前には必ず検査を受けているので大事に至らないが、プロボクサーにはそうした健康リスクのチェックをせずに試合に臨むことがあるので健 康リスクの点でプロとアマでは大きな違いがあり、プロにもアマ同様の健康チェックが必要だとしています。