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【メディカル】視覚と触覚は連動していることが明らかに!

Posted on 2011.9.24

sikakushokkakuハムレットは父王の亡霊を見たホレイショーに、父の姿が見えるようだと答え、ホレイショーからどこにと問われて「私の心の眼にだ、ホレイショー(In my mind`s eye,Horatio)」と答える、このシェークスピアの戯曲から英語圏では「心の眼」という比喩が広まったということです。
日本でも武術に心眼流、落語にも円朝の「心眼」などがあり、シェークスピアの翻訳以前から「心の眼」という概念があったようです。このよう に視覚に関して 「心的プロセス」があり、脳内にビジュアルイメージが存在することは誰しも経験的に理解していることだと思いますが、人間がものを見て視覚的な刺激を処理 をする際には、その見たものの触覚(つまり見たものを触った時の感覚)に関しても、同時に脳内で情報処理されていることが、南カリフォルニア大学のアント ニ オ&ハンナ・ダマシオ教授夫妻らが、(脳科学関連の一般向け書籍が日本でも翻訳されご存じの方も多いと思います)Cerebral Cortex 2011年9月号に発表した研究で明らかになりました。
教授らの実験は、被験者に手で触ったことのある物のビデオ映像を見てもらい、その時の被験者の脳を、磁気共鳴画像法で観察するというものでした。被験者は それ以前に「冷たい表面のなめらかな金属」や「毛並みの柔らかな暖かな子猫」などを触った時の感覚をイメージした時の脳の画像も調べられていました。
画像データを分析した結果、触ったことがあり、その感触を記憶している物を見ると、脳の視覚野だけでなく、同時に触覚に関する中枢である「一次体性感覚野」の見た物体に対応した部分が反応し、活動していることがわかりました。
教授らはこの結果から、人間には「心の眼」だけでなく「心の触感」も存在し、視覚イメージによってそれに合致した触覚も同時に喚起されることが証明されたとしています。