コラムColumn

【食】食物に含まれる脂肪分は人間の味覚や嗅覚に影響を与えている!

脳食

Posted on 2012.7.26

kaori英国・ノッティンガム大学のJoanne Hort 博士らが、Chemosensory Perception 2012年7月号に発表した研究で、食物に含まれる脂肪分が、脳の活動を低下させることで、味覚、嗅覚中枢と報酬系に影響を与えて いることが明らかになりました。
博士らは、より健康的な低脂肪でも美味しく感じられる食品を開発するには、脂肪分が感覚に与える影響を分析 することが重要であることから、ユニリーバと共同研究プロジェクトを3年間にわたり行い、食品中に含有する脂肪分によって、脳の複数の領域における活動が 低下し、その結果、香りを受容し、認識するあり方が変化してしまうことを発見しました。
研究では同じ厚みで同じ甘さの、4種類の果実フレーバーのサンプルを、脂肪分の含有量を変えて被験者に味わわせ、fMRI(磁気共鳴画像法)を使用して、味わっている時の被験者の脳活動データを採取し分析しました。
デー タ分析した結果、被験者の脳では、無脂肪のサンプルを味わっているときのほうが、脂肪分を含んだサンプルを味わっている時よりも、香り・匂いの知覚中枢で ある、大脳皮質の体性感覚野と、島の前・中・後方領域が、活発に働いていることがわかりました。そしてこうした脳の反応は、香りの知覚や報酬系の反応が、 増加した結果ではないことも明らかになりました。
この結果に関して博士らは、なぜ脂肪分が香りや報酬系の脳の反応プロセスを抑制するのか は、この研究結果からだけでは明らかではないが、この脂肪分が持つ抑制効果が空腹感や満腹感と報酬系に、どのように影響を与えているのかさらに詳しく研究 することで、より健康的で満足感の得られる食品の開発に繋がる可能性があるとしています。