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眠っている間の刺激で記憶が強化されることが実証!

Posted on 2013.4.21

新たな睡眠学習法が開発できるかも?
眠っている間の刺激で記憶が強化されることが実証!
 
 
 
記憶のメカニズムについては、我々の生活に大きな影響を与える分野だけに明らかになってきたこともありますが、依然として未知の部分が多い興味深い研究対象であることは間違いありません。

就職難を背景に入試や資格試験の学習者を当て込んだ、眉にツバをつけたくなる記憶法、学習法の商材がネット通販の時代になって、新聞雑誌の広告しかなかった時代よりも増加しているようにも思われます。

特に睡眠学習法に関しては、日本で育った大人ならどこかで一度や二度は、目にしたことがあるのではないでしょうか。睡眠時の刺激が夢に影響を与えること、学習と記憶の定着に、睡眠が大きな影響を持つことなどは既に良く知られていますが、米国・イリノイ州のノースウェスタン大学のDelphine Oudiette博士らが、Journal of Neuroscience 2013年4月10日号に発表した研究で、睡眠中に学習した事項に関連した刺激を与えると、記憶の定着が良くなることが明らかになりました。
 
博士らは記憶の定着に関しては、記憶すべき事項の重要度や価値が、影響を与えているのではないか、さらに睡眠中に記憶した事項の関連刺激を与えることで、記憶の定着に影響があるのではないかとの仮説の下に実験しました
 
実験はモニター画面上に72個の品物を固有の位置に出現させ、それぞれの品物がどこに位置していたかを被験者に記憶させ、後の記憶テストでそれぞれの位置を正解すれば、被験者に金銭報酬のインセンテイブが与えられるという内容でした
 
ただし画面上に出現するそれぞれの品物には、正解報酬金額に高低の違いがあることも被験者に提示され(後で正解すれば報酬が高いものと安いものが被験者が分かる状態)、それぞれ品物が画面に出現するときに、同時にその品物固有の特徴的なテーマ音が鳴らされました。
 
被験者はAB2グループに分けられ、最初の画面提示の後、Aグループは覚醒したまま,Bグループは昼寝して90分間過ごし、その後記憶テストが実施されました。
 
テストの結果、Aグループ、Bグループともに報酬額が高額の品物の記憶率が高く、金額が低くなるほど正解率が低下していることが明らかになりました。
 
90分間、に低額報酬の品物の半数だけ画面提示に付随した品物固有の特徴的なテーマ音を鳴らし、被験者に刺激を与えたところ、Aグループでは聴かされたテーマ音の品物のみ正解率は上がりましたが、Bグループでは睡眠中のテーマ音の刺激により、テーマ音が鳴らされなかった品物を含む全ての低額報酬の品物に関して正解率が上昇していることも分かりました。
 
博士らは睡眠中に品物に関連したテーマ音が耳に入ったことで、被験者は眠っていたにもかかわらず品物の記憶が脳内で呼び覚まされ、覚醒中とは異なり、低額報酬の品物というカテゴリー全体の記憶リハーサルがなされたために、記憶率が向上したと考えられるとしています。

Journal of Neuroscience 2013年4月10日号