コラムColumn

遺伝子によって香りの感じ方が違う

Posted on 2013.8.24

十人十色とは好みや考え方が人によって異なることを示しますが、実は香りも人によって異なって感じていることがニュージーランドの研究者らによって明らかになり、2013年8月1日付のCurrent Biologyという科学雑誌のオンライン版に発表されました。
研究は一般の食品に含まれるごく一般的な香りを10種類、200人に嗅いでもらい、10種類それぞれの香りを嗅ぎ分けられる人と嗅ぎ分けられない人のDNAの特性を分類しました。
その結果、β-イオノンというスミレの花の香りに含まれる成分を感知する嗅覚受容体遺伝子OR5A1の突然変異型を持つ人は、β-イオノンを嗅ぎ分けにくい性質を持ち、同時に酸っぱい香り、辛い香りなどに対して、好ましく感じない傾向があることがわかりました。
ほかの動物よりも嗅覚が劣っている人間でも、嗅覚受容体遺伝子は、遺伝子全体の約1%を占めています。それだけに香りに対する感受性に遺伝子が関係しているという仮説は、非常に興味あるものです。
同じリンゴやバナナの香り、焼き肉、ウナギの蒲焼の香りなどを嗅いでも、もしかしたら全く違う感覚でその香りを嗅いでいるのかもしれません。
香りの世界、深いですね!
Sara R. Jaeger, Jeremy F. McRae, Christina M. Bava, Michelle K. Beresford, Denise Hunter, Yilin Jia, Sok Leang Chheang, David Jin, Mei Peng, Joanna C. Gamble, Kelly R. Atkinson, Lauren G. Axten, Amy G. Paisley, Leah Tooman, Benedicte Pineau, Simon A. Rouse, Richard D. Newcomb. A Mendelian Trait for Olfactory Sensitivity Affects Odor Experience and Food Selection. Current Biology, 2013