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卵子の数より質が重要

性と生殖

Posted on 2012.8.16



卵子の数より質が重要
 

「AMH値の数値が低いから妊娠できないというわけではありません。AMH値では卵子の質は評価できませんから、たとえ数値が1桁でも、健康な卵子が1個でもあれば妊娠の可能性はあります」と説明する宗田先生。
ましてAMH値が高ければ見た目が若かったり、閉経が遅いわけでは決してない。「数字に振り回され一喜一憂するのは本末転倒」(宗田先生)

閉経することにも意味がある!

アンチエイジングブームで女性ホルモンが若返りの秘薬だと勘違いしている人も多い。たしかに命を産み育むために、エストロゲンとプロゲステロンは大活躍して くれる。しかし新しい細胞を作るときには、必ず不良品が生まれるリスクを伴う。ときにその不良品はがん細胞だったりもする。
加齢とともに不良品を作り出すリスクは高まる。閉経はそんな女性ホルモンが持つ別のリスクを避けるために必要な、女性の体を守るシステムなのかもしれない。

ホルモン値を気にするより婦人科検診を!

「自分は産める体だろうか?」「もしかしたら閉経かしら?」と心配しながら、卵巣年齢、妊娠力、女性ホルモン力……などという医学的に根拠のない言葉に踊らさ れるよりも、基礎体温を測り、産婦人科のかかりつけ医を持ち、年に一度の婦人科検診をしっかり受けることが、女性にとって一番必要なアンチエイジング法。
そして生殖年齢は加齢とともに衰えてしまうこともしっかり自覚し、何の根拠もなく「私だけは大丈夫!」と過信しないことだ。
コラム 高齢出産とリスク

米国補助生殖医療学会によると、35歳以下で体外受精を受けた女性は2003年から2009年までの期間に9%増加したが、同じ期間に41歳以上で体外受精サイクルを受けた女性は、41%も増加。
42歳以上で体外受精を受けても、妊娠まで至るのは2009年の段階で9%に過ぎず、さらに妊娠しても高齢妊婦は流産や先天異常、その他の合併症など高いリスクに直面するという。
しかし女性の多くが、出産を遅らせることが招く結果を正しく認識しておらず、生殖医療技術が老化した卵巣機能を元に戻すことができると誤解していることが、 エール大学生殖医療センターのPasqualePatrizio教授らが発表した。(FertilityandSterility 2012年3月3日オ ンライン版)
取材したドクター
産婦人科医・医学博士・広尾レディース院長
宗田聡(そうだ・さとし)先生