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【メディカル】高血圧の妊婦から生まれた男性は認知機能低下リスクが高い!

性と生殖

Posted on 2012.10.9

koukeフィンランド・ヘルシンキ大学のKatri Räikkönen博士らがNeurology 2012年10月9日号に発表した研究で、妊娠中に高血圧だった母親から生まれた男性は、母親が妊娠中に 正常血圧だった人に比べて成長後に認知機能が低下しやすいことが明らかになりました。
博士らは1934~44年に生まれた男性398人(平 均年齢98.5歳)の母親が妊娠中採取された血圧と尿タンパクのデータと男性たちの認知機能のデータを分析しました。被験者となった398人の男性は20 歳と60代以降の時点で同じ認知機能テスト(フィンランド国防軍基礎能力検査)を合計2回受けていました。以前の研究で博士らは20歳時点で母親が妊娠中 に高血圧だった男性は、そうでない男性よりも認知機能得点が低い傾向があることを確認していましたが、今回のデータを分析した結果、母親が妊娠中に高血圧 だった男性はそうではなかった男性に比べて68.5歳(平均年齢)時点で、平均4.36ポイントも認知機能テストの得点が低いことがわかりました。また高 血圧妊婦から生まれた男性は20歳時点と68.5歳時点で比較しても、そうではない男性より低下幅が大きく、平均で2.88ポイントも低下していました。
実施された認知機能検査は算数、言語、視覚推理能力などから構成されており、認知機能を測定するのに適した検査であり、高血圧妊婦の母親から生まれた男性は、特に算数の能力が20歳時点においても低く、さらに68.5歳時点ではより大きな低下を示していました。
この結果から認知機能の低さと高齢に至るプロセスでのより大きな劣化に関しては胎児期の影響が非常に大きいことが明らかで妊婦の健康状態が非常に重要であることが確認されたとしています。