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1日75gのクルミで青年の精子が元気になる!

性と生殖男性

Posted on 2012.9.25



日本では以前の世代に比べて青年の精子が減少したり、活動力が低下している 例が増加し、少子化の原因の1つでもあるといわれていますが、米国カリフォルニア大学ロサンゼルス校のWendie Robbins博士らがBiology of Reproduction 2012年8月15日オンライン版に発表した研究で、クルミを食べることで青年の精子の質が改善されることが明らかになりまし た。

現在世界では7000万組のカップルが不妊に悩んでいると推定され、そのうち30~50%が男性側に原因があると考えられています。そ して工業化が進んでいる先進国ほど精子の質が大気や土壌の汚染、不自然なライフスタイルや西欧化された食生活、ファーストフードやジャンクフードの大量消 費などの影響で、低下していることを示唆している研究も発表されています。

博士らは精子の成熟と膜機能に重要な影響を与えると 考えられる多価負飽和脂肪酸を含む食品を食べることで、精子の質が向上するのではないかと考え、実験を行いました。青魚のEPAやDHA、クルミやオリー ブオイル、亜麻仁油などに含まれるα-リノレン酸など多価不飽和脂肪酸と呼ばれ、健康維持に寄与することが知られています。

実験はふだん西 欧的な食生活をしているカリフォルニア在住の21歳から35歳の健康な成年男子119人を2グループに分け、12週間Aグループは普段の食事に加えて毎日 75gのクルミを食べ、Bグループは木の実は食べないように指導されただけで通常の食生活をさせました。クルミの量が75gとされたのは以前の研究で、こ の分量を成年男子に毎日食べると、血中脂質の水準は変化する一方で、体重は増加しないことが分かっていたためだそうです。

12週間後、両グループの被験者の精子を採取し、開始前と比較したところ、毎日クルミを食べていたAグループの精子は、開始前に比べ元気で、良く動き、形も良くなるなど質的に改善していることがわかりました。

また詳しく調べると、染色体異常も少なくなり、ほとんど見られなくなっていました。一方Bグループの精子には変化が見られませんでした。

博士らは今回の結果について、クルミを食べると健康な成年男子の精子は質が高まることは明らかになったが不妊に悩む男性に効果があるかどうかはこれだけでは明らかではないのでさらに研究を続けるとしています。