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学習能力低下や認知症に関係するMK2 / 3タンパク質

o0640042713061386766年齢を重ねると物覚えが悪くなり、新しい機械の使い方などになかなか慣れません。実はその原因が、脳 の神経細胞間の情報伝達に欠かせない「棘突起」と呼ばれる部分を形成するのに必要なタンパク質の不足や欠損が関係し、もの忘れや認知症の初期症状を起こし ている可能性があるというのです。

これは英国ウォーリック大学の研究によるもので、脳の神経細胞(ニューロン)の情報伝達に欠かせない「MK2 / 3タンパク質」の不足・欠如によって脳神経細胞間の情報伝達がうまくいかずに、もの忘れや、認知症の初期症状が現れている可能性が確認され、「MK2 / 3タンパク質」の不足・欠如を防ぐ薬や治療法の開発が認知症の予防に役立つのではないかと2014年8月の『Nature Communications』に発表されました。

私 たちの脳では、外部の刺激を受けて、神経細胞(ニューロン)が電気信号としてその刺激を別のニューロンに伝えます。電気信号の刺激はニューロンの中で「神経伝達物質」を作り、それを別のニューロンに向かって放出することで、次のニューロ ンに情報が伝達されます。

「MK2 / 3タ ンパク質」は、前に刺激を受けたニューロンが放出した神経伝達物質を受け取る「とげのような突起」を作るために必要なタンパク質で、これが欠損すると、とげ突起が短くなっ てしまったり、数が減ったり、未形成になるために、うまく神経伝達物質の刺激を受けられず、情報を受け取れなくなってしまい、これが記憶力を低下させたり、練習によって何かができるように なったりする妨げになることが判明。

たとえばずっと手で食器を洗っていた老人が、食器洗い機をうまく使いこなせなかったり、食器洗い機を使うことに抵抗を感じたりするのは、「MK2 / 3タンパク質」の不足・欠如によって、新しい記憶形成ができなかったり、学習能力が低下することと関係しているのではないかと研究者は分析し、、「MK2 / 3タンパク質」が今後の認知症治療薬を開発する上での重要なターゲットになるのではないかと指摘しています。

The MK2/3 cascade regulates AMPAR trafficking and cognitive flexibility. Nature Communications, 2014; 5: 4701

肌トラブルの原因はやはりストレス

af9980024634ストレスによって肌の状態が悪くなることは、いろいろなところで言われ続けていますが、私たち人間が常にいろいろなストレスにさらされているために、その因果関係を科学的に立証するのは、難しいことです。アメリカのコーネル大学医学部が行ったマウスを用いた実験によると、ストレスによって皮膚の炎症が起こり、肌の外観を悪くしている可能性があることが2014年8月のアメリカ皮膚科学会のプレスリリースとして発表されました。

これは、アトピー性皮膚炎や酒さ(慢性の炎症性疾患で、顔に赤いぶつぶつや、小さな吹き出物、毛細血管の拡張などがみられる症状)など、皮膚が炎症を起こしやすい遺伝子を持つマウスに、ストレスの負荷をかけたときとかけなかったときを比較したもの。実験の結果、慢性的にストレスをかけたマウスは皮膚の炎症が悪化していました。

こ の結果について研究者らは、皮膚の慢性炎症には、皮膚にある神経や血管内皮細胞から炎症を引き起こす神経伝達物質が放出されることで皮膚の炎症が起きる可 能性があるため、神経系と皮膚の炎症を引き起こす回路を特定し、そこで炎症物質の放出を抑制したり、神経回路をブロックすることで、肌トラブルを予防・改 善できる可能性があると述べています。

“Reducing stress may help lead to clearer skin.”  American Academy of Dermatology, 7 August 2014

ホウレンソウやブロッコリーで体内時計をリセットしメタボ解消

gum03_ph05105-sホウレンソウ、ブロッコリー、レバー(などの内臓肉)に含まれる抗酸化物質の「αリポ酸」は、ミトコンドリアでエネルギーを作るときに欠かせない物質で、 糖質や脂質の代謝を促進したり、活性酸素から細胞を守る働きがあります。オレゴン州立大学の研究によると、αリポ酸には、体内時計の乱れをリセットして、 昼夜の生活サイクルを整える働きがあることが2014年7月の『Biochemical and Biophysical Research Communications』に発表されました。

概日リズムの乱れは、ホルモン分泌の乱れ、炎症、心臓病、メタボリックシンドローム、 がんなどを引き起こす原因のひとつと考えられています。朝目覚めて夜眠るというリズムは、体内の細胞にある「体内時計」の働きでコントロールされ、「体内 時計」は光の刺激で概日リズムを作ることがわかっています。

今回の研究では、概日リズムが乱れたネズミにαリポ酸を多く含んだエサを与えてみたところ、通常のエサを食べたネズミよりも、肝機能障害が修復され、概日リズムの乱れも改善していることがわかりました。

αリポ酸は私たちの細胞内のミトコンドリアで作られますが、年齢とともにその能力が低下して、αリポ酸が不足していきます。それが原因で、糖や脂質の代謝が乱れたり、さらには眠りが浅くなったりするのかもしれません。

肝臓で行われている脂質代謝が、概日リズムの乱れによって機能不全を起こし、それが原因で肥満や脂質異常症などを引き起こすことも明らかになっているので、αリポ酸はそれを予防するために有効な抗酸化物質だと言えますね。

“Lipoic acid entrains the hepatic circadian clock and lipid metabolic proteins that have been desynchronized with advanced age.”  Biochem Biophys Res Commun. 2014 Jun 2. pii: S0006-291X(14)01001-8.

デジタル化によって子どもたちの「感情を読み取る能力」が低下?

phm20_0479-sカリフォルニア大学ロサンゼルス校の研究によると、テレビ、スマホなどのデジタル画面を 見ることで、子どもたちの「他人の感情を読み取る能力」が低下することが明らかになり、2014年8月の科学雑誌『Computers in Human Behavior』のオンライン版に掲載されました。(雑誌への掲載は2014年10月号です)

この研究によると、小学校6年生を対象 に5日間はスマホやテレビなどのデジタル画面を見ないロサンゼルスからおよそ100キロ離れた自然に囲まれたキャンプに参加した51人の児童グループと、 キャンプに行かずに毎日スマホやテレビを見ていた54人の児童グループに分けて、アンケートやインタビュー調査をしました。

調査は両方のグループに、怒り、悲しみ、喜びなどを表現した第三者の写真を48枚用意して、児童にその表情から感情を推察させました。

その結果、デジタル画面を見ずに5日間のキャンプに参加した児童グループは、参加前よりも、キャンプに参加しなかったグループよりも、他人の表情を読み取る能力が高まっていることが明らかになりました。

こ の結果について、研究者らは、デジタルディバイスは、知識を高め自主学習するのには大いに有効ではあるものの、人間は人と人とのリアルな接触を通じて、コ ミュニケーション能力を養っており、デジタル社会がそれを阻んでしまうことによって、人間としてのコミュニケーション能力が低下する恐れがあるため、幼少 期は特に、社会性、社交性を養うためにも、デジタル画面を見ずに人と交流するチャンス(ディバイス・フリー・タイム)を多く持たせるべきだと述べていま す。

Five days at outdoor education camp without screens improves preteen skills with nonverbal emotion cues. Computers in Human Behavior, 2014

社交ダンスは高齢者のバランス感覚を改善する

o0458055012991657740ブラジルのリオ・デジャネイロ連邦大学の研究によると、社交ダンスを行うことで、高齢者のバランス感覚が改善され、転倒予防に貢献することが、2014年4月の『Archives of Gerontology and Geriatrics』に掲載されました。こ れは59の老人ホームの居住者を対象に、12週間にわたり、50分のレッスン(ウォームアップからリラグゼーションまでを含む)を週に3回受けたグループ と、受けなかったグループのバランス力を比較しました。その結果、社交ダンスのレッスンを受けたチームが明らかにバランス力を改善していたことが明らかに なりました。この結果について研究者らは、社交ダンスのレッスンを定期的に受けることで、高齢者のバランス力を維持・改善でき、転倒防止に役立つ可能性が大きいと述べています。

“Postural balance and falls in elderly nursing home residents enrolled in a ballroom dancing program.”  Archives of Gerontology and Geriatrics, 5 April 2014.

ストレス解消にはチョコレートを!

ストレスを感じたときには、チョコレートを食べるといいそうですよ。

スイスのチューリッヒ大学とベルン大学の共同研究では、20~50歳 の健康な男性65人に、50g中に125㎎のエピカテキン(カカオに含まれる抗酸化物質)を含むチョコレートか、プラセボを、実験の2時間前に食べてもら い、2時間後にストレスを感じるような作業を処理して、ストレスを感じたときに生じるコルチゾールやカテコールアミンなどの分泌量を比較しました。

そ の結果、どちらのグループもストレスは感じていたものの、チョコレートを2時間前に50g摂取したグループの方が、コルチゾールやエピネフリンの分泌量が 少ないことがわかりました。この結果について、研究者らは、チョコレートに含まれるフラボノイドが、ストレスを受けたときに生じる神経系のストレス応答シ ステムの働きを抑制して、ストレスホルモンの分泌を抑制するのではないかと分析しています。

よく、デスクワークで疲れたときや会議が終わった後にチョコレートを食べますが、実は、ストレスを感じそうな作業や会議の前にチョコレートを食べておくと、良いようですね。

Wirtz PH, von Kanel R, Meister RE, Arpagaus A, Treichler S, Kuebler U, Huber S, Ehlert U.  “Dark Chocolate Intake Buffers Stress Reactivity in Humans.”  Journal of the American College of Cardiology. 2014 Jun 3;63(21):2297-9.

ダイエットで破局しないための方法

米国ノースカロライナ大学とテキサス大学オースティン校が、肥満気味の成人カップル21組42人を2年間にわたり調査した研究によると、ダイエットすることが、必ずしもカップルに良い結果をもたらすわけではないことが明らかになりました。

男 女共にダイエットに成功したカップルは、お互いに健康意識が高まることで、さらに絆が深まるものの、どちらか一方だけがダイエットに成功したカップルの場 合、片方だけが健康意識が高まり、それまでの食生活や運動習慣などに変化が生じるために、カップルの間に意識や好みの相違が生じて、距離ができたり、絆が 弱まったりして、必ずしもカップルの関係を良好には導かないということです。

ダイエット後に、失恋してリバウンドをしないためにも、ダイエット中から恋人とのコミュニケーションに注意する必要がありそうです。

Weighty Dynamics: Exploring Couples’ Perceptions of Post-Weight-Loss Interaction. Health Communication, 2013

ハーブティーで大腸がん予防

ハーブティーを週に1回でも飲んでいる人は、大腸がんになりにくいことが、オーストラリアのカートン大学の研究で明らかになり、2014年6月号の『Journal of Epidemiology』で発表されました。

これは、西オーストラリアに住む854人の大腸がんに罹った人と、948人の健康なグループのデータを使って、症例対照研究を行った結果によるもの。

コーヒー、ウーロン茶、緑茶についても分析しましたが、大腸がんの発症リスクとの関連性は見られませんでした。

こ の結果について研究者らは、ハーブティーが大腸がんを予防する作用機序について、今回の研究では明らかになっていないものの、ハーブティーを飲む人が全般 的に健康意識が高く、健康的な食生活を心がけていることや、ハーブティーには、ペパーミントやカモミールなど、さまざまな効能を持つものが多いために、そ れらが複合的に大腸がんの予防に貢献している可能性が高いと述べています。

“Tea, coffee, and milk consumption and colorectal cancer risk.” Green CJ, de Dauwe P, Boyle T, Tabatabaei SM, Fritschi L, Heyworth JS. Journal of Epidemiology, 2014

目的を持ってポジティブに生きると長生きする

カナダのカールトン大学の研究によると、アメリカの中高年 6000人が参加した研究を分析した結果、調査委期間中の14年間に569人が死亡(全体の約9%)していることが明らかになりました。さら に、死亡した人々のデータを分析した結果、生存している人に比べて、人生に対する目的意識が低く、ポジティブに生きていないことが明らかになりました。こ の結果について、研究者らは、目的を持って人生を生きることが、長寿につながることを示した研究はすでにいくつか報告されていますが、若い頃から高齢にな るまで、一生を通じて、目的意識を持ち続けることが、死亡率を低下させることに、大いに効果を発揮する可能性があることを指摘しています。

“Purpose in Life as a Predictor of Mortality Across Adulthood.”  Psychological Science. 2014 May 8.

育メンがモテる理由はホルモンにあり!

kdm010-s(1)「A男さん、パパになって素敵に変身したわね!」とか、「保育園のお迎えに走るA男さんの姿に胸キュン!」など、育メンが女性に大人気です。その理由は、思いやりホルモン、愛情ホルモン、母性ホルモンと呼ばれる「オキシトシン」というホルモンにあることをご存知ですか?
オキシトシンは、出産の際に子宮の収縮を促して出産の痛みを和らげたり、母乳を出すときに痛みを感じないようにするために分泌されるホルモンとして有名です。さらに自分の大切なパートナーに愛着を感じるためにも必要なホルモンで、男性にも分泌されています。

ではオキシトシンが分泌されると女性からなぜモテるのか? それは仕事を持ち、経済的に自立した女性からすれば、育メンは、自分の産んだ子供を大切に育ててくれるやさしいパートナー。狩猟民のように稼ぐけれど、家 事や育児に無関心で、外で浮気しそうな男性よりも、愛情と母性溢れる育メンに、理想のパートナー像を重ね合わせているのです。

経済力のある自立した女性を射止めたい場合は、ぜひオキシトシンの魅力を活用しましょう。ちなみにオキシトシンは育メンにならなくても、柔らかくふわふわ したものを触ったり、ペットを飼ったり、ボランティア活動に参加したり、植物の世話をすることで分泌されることが分かっているので、その辺りも上手く活用 できるかもしれませんね。