投稿

脳と肝臓を壊す「甘い誘惑」に注意!~異性化糖(高フルクトース・コーンシロップ)の脅威

phm20_0700-s砂糖不使用で低カロリーの甘いドリンクを飲みながら、フライドポテトやハンバーガーを食 べると、食が進み、ついつい食べ過ぎてしまいますよね? 実はこれ、そういうドリンクの多くに使用されている「異性化糖」という成分が、脳を刺激して、食 欲を旺盛にしてしまい、過食や肥満のリスクを高めているからなのです。

異性化糖とは、「高フルクトース・コーンシロップ」「ブドウ糖果糖 液糖」「果糖ブドウ糖液糖」などと呼ばれる甘味料。原材料は安価なトウモロコシで、そのデンプンである「コーンスターチ」を酵素で分解して、甘くてドロド ロした糖液に換えたものが、「コーンシロップ」。しかしこのままでは、甘味が弱く、ドロドロとして加工するのに不向きなため、さらにこれを化学的な反応の 力でブドウ糖から果糖に変化(これを「異性化」という)させたものを含む液糖が「高フルクトース・コーンシロップ」です。

「高フルクトース・コーンシロップ」は、砂糖不使用などと記された甘い飲料に使用されており、これが肥満の原因になっていると指摘されています。
最近では異性化糖が、肥満や肝機能障害、脂肪肝など、人体に悪い影響を与える可能性が高いことから、「狂った砂糖」などと呼ばれるようになっています。

ちなみに果糖は「果」という文字から、果物にたくさん含まれていると思われがちですが、果物には、ブドウ糖、果糖、ショ糖など、さまざまな糖が含まれており、化学的に処理され、異性化したものではないので、果物=有害な糖を含んでいる、と誤解しないでください。

糖 類には、「単糖類」と「多糖類」があり、「単糖類」は最小単位の糖でブドウ糖と果糖がこれに属します。「多糖類」は、複数の単糖が結合したもので、グラ ニュー糖や上白糖(料理などに使う砂糖)の主成分の「ショ糖」(ショ糖はブドウ糖と果糖の2種類の単糖類が結合したものなので「二糖類」とも言います)や 化粧品などの保湿成分で有名な「ヒアルロン酸」、「デンプン」、「セルロース」、「ペクチン」などが単糖類に属します。

果糖とブドウ糖は同じ単糖類ですが、体の中に取り込まれて、エネルギーになるまでの代謝経路が全く異なります。

ブドウ糖は小腸から吸収されて血中に取り込まれながら、全身の細胞でエネルギーとして利用され、余った分は中性脂肪として貯蔵されます。このためブドウ糖の摂り過ぎは、血液中のブドウ糖の量を増やしてしまい、血糖値が高くなって、糖尿病のリスクを高めます。

一方の果糖は、そのほとんどが肝臓で分解・代謝されて、余った分は肝臓の中に中性脂肪として貯蔵されます。つまり、果糖は血糖値を上昇させない代わりに、摂り過ぎると肝臓に負担をかけて、脂肪肝になってしまうリスクがあります。

「NASH」 という病気が注目されていますが、これは「非アルコール性脂肪肝炎」という病気で、アルコールを飲んでいなくても、果糖を多く含んだ飲料や食品を過剰に摂 り続けることによって、肝臓に脂肪が溜まり、炎症を起こして肝臓の機能を低下させ、肝臓の細胞を線維化して、肝硬変や肝臓がんのリスクを高めてしまうので す。

もうひとつ、果糖とブドウ糖の大きな違いがあり、それが肥満と大きく関係しています。簡単に言うと、果糖は脳に重大な影響を与えてしまうのです。それが今回紹介する研究と関係しています。

テキサス大学の研究によると、果糖はブドウ糖よりも、食欲を昂進してしまう可能性が高い、つまり甘い炭酸水を飲むと、食欲が増して、必要以上に食べてしまうことがわかり、2014年12月の米国神経精神薬理学会年次総会で報告されました。

この研究は、16歳から25歳までの男女24人に、ブドウ糖か果糖で甘く味付けされた飲み物を飲んでもらい、その後、チョコレートケーキなどさまざまな食べ物の写真を見せながら空腹感について質問し、そのときの脳の活動をfMRIで観察しました。

その結果、果糖入りの飲み物を飲んだ人の方が、空腹感が強く、食べ物の写真に対して、脳の報酬系(内側前頭前皮質や側坐核など)の領域が強く反応していました。

これに対して研究者らは、果糖は満腹感を得られずに飲み過ぎて、カロリーを摂り過ぎたり、肝臓に脂肪を溜めこんでしまうリスクがあることを、しっかりと認識するべきだと述べています。

【出典】
Kathleen Page, M.D., assistant professor, clinical medicine, Keck School  of Medicine, University of Southern California, Los Angeles; Lona Sandon, R.D., assistant professor, clinical nutrition, University of Texas Southwestern Medical Center at Dallas; Corn Refiners Association, news release, Dec. 9, 2014; American College of Neuropsychopharmacology meeting, Phoenix, Ariz., Dec. 10, 2014

「もう年だから」と口に出すと本当に老ける?!

「もう年だから…」などと頻繁に口に出してしまうと本当に心まで老け込んでしまうので要注意です!

米国エール大学の研究で、サブリミナル効果で老いに対するポジティブなイメージを植え付けることで、老いに対するネガティブな感情が軽くなることが明らかになり、2014年10月の『Psychological Science』に発表されました。

この研究はコネチカット州のニューヘブンで、平均年齢81歳の高齢者100人を対象に実験を行いました。

研 究者らは、被験者にモニター画面に映し出される「元気」「創造的」などのポジティブな言葉を数秒単位でたくさん見せて、これを3週間継続した結果、ポジ ティブな言葉に毎日接触した高齢者は、接触しなかった高齢者に比べて、老化に対する否定的な固定観念が少なくなり、逆に老いに対してポジティブな思考が高 まったということです。

この結果について研究者らは、フラッシュカードのサブリミナル効果によって、高齢者たちの老いに対する否定的な考 え方が改善されたことが明らかになり、日常会話の中でこのような老いに対する肯定的な言葉を使い、否定的な言葉を少なくすれば、老いに対するネガティブな 意識が改善され、高齢者のうつ病などの予防につながるのではないかと述べています。

Subliminal Strengthening: Improving Older Individuals’ Physical Function Over Time With an Implicit-Age-Stereotype Intervention. Psychological Science, 2014

親が何でも決めないで~意思決定能力を高める教育は対人関係やメンタル面でのトラブルを回避

オレゴン州立大学の研究によると、10~11歳のときに意思決定能力が低い子どもは、問題行動や対人関係に問題を抱えてしまうリスクが高いことが わかり、2014年10月の『journal of Behavioral Decision Making』で報告されました。

これはアメリカ人の10~11歳の子どもたち約100人の意思決定能力を確認する質問や問題を解いてもらい、その1年後に同じ子どもたち76人とその親が参加して、日常の問題行動や学校生活、メンタル面での問題などの有無について調べました。

その結果、意思決定能力が高く、自分の意志決定に自信を持っている子どもは問題行動メンタル面での問題を抱えていませんでしたが、意思決定能力が低い子どもには、対人関係やメンタル面で問題を抱えているケースが多かったということです。

研究者らは、意思決定能力は、教育によって身に付けられるもので、子どもが小さいときに意思決定能力の低さを判別できれば、それを補う教育を親が教師が行うことで、将来的に対人関係やメンタル面でのトラブルを回避できると述べています。

私が子育てをしているときに、とても大切にしていたことは、
「親が勝手に何でも決めずに、子どもに決めさせること」でした。

「今日のお洋服はどれにする?」
「絵本は何を読む?」
「公園に行く?行かない?」
「ご飯食べる?パン食べる?」

些細なことでも、子どもに聞いて選ばせるようにしていました。
お陰で成長してからの重要な人生の選択に対しても、親に頼らず、
自分で考え、選んでくれる人間に成長してくれました。

親はちょっと辛抱しなければなりませんが、
人生は成長すればするほど、意思決定の局面が増えて行きます。
そこで自分で良い方向を選べない人間になってしまったら、
それはそれは辛い人生になってしまいますよね。

「自分で選んだのだからがんばろう!」という自信や確信は、
後悔したり、反省したりせずに、自分の人生を歩むための大きなエネルギーです。

言葉もまだわからないうちから、子どもに選ばせると、
子どもの好みや個性がよく理解できてとても楽しいですよ。

親子の理解を深めるためにもぜひ「子供に選ばせる」チャンスを増やしてください。

Preadolescent Decision-Making Competence Predicts Interpersonal Strengths and Difficulties: A 2-Year Prospective Study. Journal of Behavioral Decision Making, 2014

腐らせて放置しない!~食品や部屋のカビがぜんそくを発症・悪化

 

イギリスのエグゼター大学の研究によると、部屋の中のカビが、

ぜんそくの発症・増悪リスクを高めることが明らかになり、2014年8月の『Journal of Allergy and Clinical Immunology』に掲載されました。

私 たちが住む家の中には、平均約10種類のカビが存在しています。そして私たちは、何らかのカビを毎日呼吸と共に吸い込んでいるのです。今回の研究による と、カビの種類やカビの数が多い家に住んでいる人ほど、ぜんそくを発症していたら、ぜんそくの症状が重いことが明らかになりました。そして特に、カビの中でも「クラドスポリウム」「アルテルナリア」「アスペルギルス」「ペニシリウム」という種類のカビがぜんそくの発症や増悪に関係しているようです

クラドスポリウム…お風呂に発生する黒カビ、食品にも深緑色に生え、空中に浮遊するか美の中で最も多い。
ペニシリウム…食品に着く緑色のカビ、チーズの青カビの一種。
アルテルナリア…灰色、黒の綿毛状のカビでススカビと呼ばれます。
アスペルギルス…緑、黄土色、茶、黒、白、青緑などさまざまな色をした食品に生えるカビ。

上記のように、ぜんそくリスクを高めるカビの原因は「食品」のようです。日本のように雨が多く湿度が高い環境では、カビが繁殖しやすいので、食品の管理には十分気をつけたいですね。

“Indoor fungal diversity and asthma: A meta-analysis and systematic review of risk factors.”  J Allergy Clin Immunol. 2014 Aug 23. pii: S0091-6749(14)00952-X.

モテるためには笑うな!

AKB48をはじめ女性アイドルや女優は笑顔の写真が人気。でも男性アイドル、俳優などのイケメン写真は、笑顔よりも目線を外した悲しげな顔や、物思いに ふける顔が多いと思いませんか? 実はこれ、男性と女性では、笑顔に対するセックスアピール度がまったく違うからなのです。

カナダのある大学の研究結果によると、男性は「女性の笑顔」に性的に強く引きつけられるのに対して、女性は「男性の笑顔」を見ても性的関心が高まらず、む しろ「羞恥心」や「自信」「誇り」に満ちた顔に、性的な関心を強く示すことが明らかになっています。具体的に男性のどんな表情やポーズが、女性の性的関心 を高めるのでしょうか?

続きはこちらです。

バクテリアで美肌キープ?!

土や水の中にいるバクテリアで、アンモニアを酸化して亜硝酸や硝酸をつくり出す「アンモニア酸化細菌(AOB)」の一種である「ニ トロソモナス・ユートロファ(Nitrosomonas eutropha)」は、ヒトや動物の汗の主成分を代謝するだけでなく、皮膚の健康状態も改善し、皮膚にできた傷を早く治し、将来的には、ニキビや糖尿病 によって起きる皮膚の炎症などの治療にも役立つ可能性があることを、米国微生物学会が2014年9月に発表しました。

2014年5月には、アメリカ人ジャーナリストが、1ヵ月シャワーを浴びず、髪も洗わずにいても、今回実験が行われた「アンモニア酸化細菌(AOB)」の「ニトロソモナス・ユートロファ(Nitrosomonas eutropha)」をスプレーで噴霧することで不潔なニオイがしなくなり、吹き出物や皮膚炎などの肌トラブルも怒らなかったことが報告されています。

死海の泥はすでに美容アイテムとしても人気ですね。
「バクテリアスプレーで清潔に!」なんていうちょっと不思議な宣伝文句が飛び出すのも、そう遠い話ではなさそうです。

“Sweat-eating bacteria may improve skin health.”American Society for Microbiology, 29 September 2014.

筋肉がうつを改善する

筋トレしている人って、前向きで元気、アグレッシブな人が多く、不安やストレス、うつなどとは縁がないような感じですよね? 実は筋肉を鍛えることで、ストレスに強くなり、うつ病になりにくくするメカニズムが科学的に解明されつつあるのです。

実 はうつ病の人の体には「キヌレニン」という物質が、普通の人よりも多いことが明らかになっています。肉、魚、乳製品、豆類などのタンパク質に含まれるトリ プトファンを代謝するときに作られる物質には不安を取り除き、気分を落ち着かせて、攻撃性やうつ的な気分を軽減させる「セロトニン」という物質が「幸せホ ルモン」として有名です。そしてもうひとつ、実はトリプトファンの代謝に伴って作られる「キヌレニン」という物質があり、この物質がうつ病や統合失調症、 チックなどの患者の体内で多く生成されていることが明らかになっています。

つまり何らかの原因で、肉や魚を食べて、トリプトファンを取り込んでも、「幸せホルモン」と呼ばれるセロトニンが作られずに、キヌレニンをたくさん作ってしまうことで、精神疾患を起こしている可能性があるのです。

ス ウェーデン・カロリンスカ研究所によると、運動によって骨格筋が鍛えられると増加する「PGC-1alpha1」というタンパク質が、キヌレニンを分解す る酵素「キヌレニンアミノトランスフェラーゼ(KAT)」の体内濃度を上昇させることで、キヌレニンの働きを抑制し、うつを予防し、ストレス耐性を高める 可能性があることがわかり、2014年9月の『Cell』で発表しました。

これはマウスを使った研究によるもので、骨格筋の「PGC- 1alpha1」タンパク質が多いマウスと普通のマウスに、騒音、チカチカする光、概日リズムの不規則な逆転などのストレスを与えて、5週間後のようすを 比較したところ、「PGC-1alpha1」タンパク質が多いマウスだけはうつ症状を起こしていませんでした。さらに「PGC-1alpha1」タンパク 質が多いマウスには、キヌレニンを分解する物質「KAT酵素」が多いことも明らかになりました。

Skeletal Muscle PGC-1a1 Modulates Kynurenine Metabolism and Mediates Resilience to Stress-Induced Depression. Cell, September 2014

インターネットで高齢者の認知機能を維持

ブラジルの大学の研究で、インターネットをよく利用する高齢者は、利用しない高齢者に比べて認知機能が低下せず維持されていることが明らかになりました。

これは50歳~89歳までの6442人のデータを分析したもので、健康状態や生活習慣の調査のほかに、短期記憶に関する簡単なテストを行いました。

その結果、インターネットをよく利用する高齢者は、利用しない高齢者に比べて、明らかに認知機能が維持されており、インターネットやメールの利用によって、加齢による認知機能低下を遅らせることができるのでないかと研究者らは推察しています。

“English Longitudinal Study of Aging: Can Internet/E-mail Use Reduce Cognitive Decline?” The Journals of Gerontology,2014 Sep.

太ると給料で損をする?!

スウェーデン、イギリス、アメリカの大規模な研究で、肥満の若者は、そうでない若者に比べて、18%も賃金が低いことが明らかになり、2014年9月の科学雑誌『Demography』に掲載されました。

こ れはスウェーデンで1984年から1997年に兵役を受けたスウェーデン生まれの145,193人のデータを分析したもの。データには、記憶、注意力、論 理性、合理性などの認知能力と、やる気、自信、社会性、根気強さなどの非認知能力に関する評価結果も含まれていました。

研究者たちは、被験者たちが28歳~39歳になった時点(2003年)の年収についてもデータを集めました。一方で同様のデータがイギリスの研究者たちによって集められ、スウェーデンの結果を比較することになりました。

その結果、肥満体型の若者たちは、標準体型の若者に比べて18%も年収が低いことが明らかになりました。

研 究者たちは、肥満の若者たちが、幼少期から親や友人からいじめや差別を受けてきたことで、自尊心、自信が持てず、社会的に不平等な立場で育つことで、認知 能力も低くなってしまい、結果的にそれが、仕事を処理する能力を低下させているため、低い賃金になっているのではないかと分析しています。

ア メリカでは低所得者層の子どもに肥満や生活習慣病が多いことも明らかです。肥満は健康を害して医療費の増大を招くだけでなく、国の経済成長と生産性に長期 的な悪影響を及ぼす可能性があります。研究者は、乳幼児期から肥満や生活習慣病にならないような教育プログラムを行い、国の政策として真剣に取り組む必要 があることを指摘しています。

Body Size, Skills, and Income: Evidence From 150,000 Teenage Siblings. Demography, 2014

リンゴで肥満予防

「リンゴ1個で医者いらず」と昔から言われるとおり、リンゴにはさまざまな健康効果が認められています。リンゴダイエットなども流行しましたが、やはりリ ンゴは肥満予防に効果があることが明らかになり、さらにリンゴの中でも「グラニースミス」という酸味の強い青リンゴが、ほかの品種よりも肥満予防効果が強 いことが2014年10月の『Food Chemistry』で発表されました。

ちなみに「グラニースミス」は、長野県など国内でも生産されていますが、酸味が強く、固いために、お菓子用・加工用として使われています。私は紅玉とグラニースミスが大好きですが…

これは、米国ワシントン州立大学などが行ったマウスを用いた実験によるもので、さまざまな品種のリンゴをマウスに食べさせて、比較したもの。

そ の結果、「グラニースミス」という品種が、最もペクチンをはじめとする食物繊維の量が多く、一方で炭水化物の含有量が少ないために、善玉の腸内細菌の増殖 に貢献し、これによって腸内の細菌バランスが整い、肥満を引き起こす悪玉細菌の増殖を予防し、代謝システムを正常に保ち、悪玉菌による炎症反応を防ぐこと で、肥満、糖尿病などの生活習慣病を予防する可能性があると指摘しています。

Assessing non-digestible compounds in apple cultivars and their potential as modulators of obese faecal microbiota in vitro. Food Chemistry, 2014