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片付け上手な人と散らかす人の違いって?

掃除や収納や片付けに関する新聞雑誌の記事やベストセラー本が続出するほど、物にあふれる時代にキレイに整理整頓して生活することは難しいようです。私もその一人ですが…

フ ランスのソルボンヌビジネススクール(IEA Paris)などの研究者によると、片付け上手な人と、散らかしっぱなしの人の違いは、「元の場所に戻せるか戻せないか」という簡単なことができるかどう かに関係していることが判明し、2014年10月の『Journal of Consumer Research』で発表されました。

この研究では、被験者たちの居住空間の写真を撮影して、その写真を見ながらさまざまな質問に回答してもらい、その結果を分析しました。

そ れによると、部屋が乱雑で汚れている人ほど、「使ったものを元の場所に戻す」というルール意識に乏しく、片付けをする際には、大ざっぱに「着るもの」「お もちゃ」と、第1段階だけしか分けないのに対し、部屋が整理整頓されて、片付けが上手な人ほど、「使ったものを元の位置に戻す」というルールをしっかりと 守り、さらに片付けをする際に、より細かくものの仕分けを行っており、例えばおもちゃであれば、シリーズやセットごとのように、第1段階、第2段階…と細 かくに分けて収納していることがわかりました。

研究者らは、毎日の片づけ習慣について理解することで、対象者がキレイに掃除された家でな いと落ち着かない人(掃除しないことに罪悪感を感じる)、散らかった家でないと我が家に思えない人(罪悪感を感じずに散らかった環境で生活できる)…とい う性質を理解する上で役に立つと述べています。

Delphine Dion, Ouidade Sabri, and Valérie Guillard. “Home Sweet Messy Home: Managing Symbolic Pollution.” Journal of Consumer Research: October 2014

人工甘味料が腸内細菌を介して耐糖能を悪化させる

イスラエルのワイツマン研究所によると、糖尿病の予防のために砂糖の代用品として消費されている人工甘味料が、腸内細菌叢を介して、耐糖能を悪化させ、糖尿病を悪化させてしまう可能性があることを2014年9月17日のオンラン版『Nature』で発表しました。

これは人工甘味料をマウスに与え続けた結果、耐糖能障害を起こすことが認められ、そのメカニズムとして、人工甘味料が腸内細菌叢に何らかの影響を与えているのではないかと推察しました。

この推察を検証するために研究者らは、人工甘味料で耐糖能障害を起こしたマウスの腸内細菌叢を、無菌マウスに移植して、経過を観察しました。

するとその結果、人工甘味料で耐糖能障害を起こしたマウスの腸内細菌叢を移植された無菌マウスに、人工甘味料を与え続けた結果、耐糖能障害を起こしました。

この結果について研究者らは人工甘味料によって腸内細菌が炎症を誘発するような物質をつくり出すことで、耐糖能障害を引き起こすのではないかと推察しています。

Artificial sweeteners induce glucose intolerance by altering the gut microbiota. Nature, 2014;

当てにならない価値判断~安いレストランで高級肉を食べても安い肉と評価してしまう

高いブランド物の製品に憧れて購入する人はたくさんいますが、それが本物かニセモノかを判断する能力は意外に当てにならず、ほとんどの人がその製品の品質を「価格」で判断していることが、米国シカゴ大学、コーネル大学、コロラド大学などの共同研究で明らかになりました。

これは、ゴージャスな高級レストランの30ドルのステーキを、カジュアルな安いレストランで10ドルで販売しても、それを食べた客は高級ステーキとは判断できなかったという研究結果をもとに分析されたものです。

この結果について研究者らは、ものの価値を判断するために、人々は、見た目の品質よりも「価格」の情報を、より重視していることが明らかになったと分析しています。

“Fooled by Heteroscedastic Randomness: Local Consistency Breeds Extremity in Price-Based Quality Inferences.” Journal of Consumer Research: December 2014.

モテたいなら、絶対に赤を着るべし!

女性と会うとき、何色の服を着るかによって、男性の第一印象が、ガラリと変わることをご存知ですか? リッチで仕事ができ、出世しそうで、セックスアピールもありそうな男に見せたいならば、赤がいちばん効果的です!

これはアメリカ・ロチェスター大学の研究で明らかになった結果で、20代の女子大学院生288人に、同一の男性が同じデザインで異なった色の服を着た写真 を見せたときの感想を聞き、それを分析したもの。その結果、灰色、緑、青よりも、赤い服を着たときの男性の姿がより魅力的に見えると多くの女性が回答しま した。続きはこちら→

野菜と果物を1日400~500g食べる人は死亡リスクが低い

野菜と果物を1日5ポーション(400~500g)食べると、すべての病気による死亡リスクが低いことがわかりました。これは833,234人が参加した17の研究結果を分析したもの。ただし、それ以上多くの野菜や果物を食べてもさらに死亡リスクが下がるわけではなく、1日に400~500gの野菜と果物を摂るのが、長寿のために最適な量であることがわかりました。

Fruit and vegetable consumption and mortality from all causes, cardiovascular disease, and cancer: systematic review and dose-response meta-analysis of prospective cohort studies. BMJ, 2014o0800053313023009066

高強度インターバルトレーニング(HIT)の健康効果

高強度インターバルトレーニング(HIT)の健康効果が注目されています。これは、ウォーキング中に早歩きやダッシュを入れるなどで、ゆるやかな運動の中 に激しい運動を加えることで、通常の運動よりも短時間で健康効果を獲得することができ、忙しい人や運動嫌いな人、気が短い人などに向いている健康法と言わ れています。

イギリスのジョン・アバーティ大学の研究で、週に2回、6秒間の全速力自転車ペダリング運動を、休憩を入れながら10回行うことで、血糖値が安定し、糖尿病のリスクが低下することが明らかになり、2014年7月の『Biology』で発表されました。

こ の研究は、男性3人、女性11人の平均年齢42歳、BMIが24~29の糖尿病リスクが高い健常人に対して、週に2回、6秒間の全速力自転車ペダリング運 動を、休憩を入れながら10回行ったグループと、何も運動をしないグル―プに、経口ブドウ糖負荷試験を受けてもらい、血糖値の低下のようすを比較した結 果、HITを実行したグループの方が有意に血糖値の低下が早く見られ、血糖の処理が早く正常に行われているということがわかりました。

この結果について、研究者らは、HITで通常の運動よりも、効率的に骨格筋を使うことで、グルコースクリアランス(体内での血糖の処理)が円滑に行われるようになるからではないかと推察しています。

食後に「ぐうたら」するより、腹八分で小走りに仕事に戻る…これが理想なんですね…。

“High Intensity Training Improves Health and Physical Function in Middle Aged Adults.” Simon Adamson, et al. Biology 2014, 3(2), 333-344

ココアのフラバノールが記憶力を改善する

米国コロンビア大学メディカルセンターの研究によると、ココア製品に含まれるカカオ豆から抽出した「フラバノール」という抗酸化物質が、記憶力の低下を改善したことが、2014年10月の『Nature Neuroscience』で報告されました。

こ れは50~69歳の健康な男女37人に3か月間、1日900㎎のフラバノールを摂取した場合と、1日10gのフラバノールを摂取した場合の、脳のCT画像 や記憶力のテストを行って分析した結果、高フラバノール群では、30~40歳の人が持つ記憶力にまで改善が見られたそうです。

加齢に伴う記憶力の低下に記憶を司る脳の海馬の中の「歯状回」が関係しているのではないかと複数の研究で推察されており、以前マウスを用いた研究結果では、フラバノールが、歯状回の神経細胞を活性させることが判明しています。

今回は人を用いたフラバノールの記憶力改善効果を観察して、このうれしい結果が報告されました。

一方で研究者らは、フラバノールはカカオ豆だけでなく、茶葉、ブドウ、赤ワイン、リンゴなどにも含まれており、記憶力の改善のために糖分の多く含まれるチョコレートやココアをたくさん消費しないように注意しています。

Enhancing dentate gyrus function with dietary flavanols improves cognition in older adults. Nature Neuroscience, 2014

鼻の神経細胞を脊髄に移植して下半身麻痺の患者が歩行可能まで回復

ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン大学の医療チームが、ナイフで刺されて下半身麻痺になった40歳の男性患者の鼻の奥にある臭覚神経細胞を培養させ、そ れを踵から採取した神経細胞と共に、脊髄損傷した部分に注入して、歩行が可能になったそうです。自己複製能力が高い鼻の神経細胞の性質を利用しての初の試 みは、脊髄損傷の患者さんに希望の光を照らしそうです。(France2 10月21日「20Heures」より)

男性は食欲より性欲、女性は性欲より食欲。やっぱりね…

神経学的な研究の結果から、男性は食い気より色気、つまり食欲よりも性欲が勝り、女性は色気より食い気、つまり性欲よりも食欲が勝っていることが、米国ロチェスター大学の研究で明らかになり、2014年10月の『Current Biology』で報告されました。

これは線虫を用いた研究結果によるもので、線虫の雄と雌雄同体(雌)に、エサになる食べ物の香りの刺激を嗅がせると、雌雄同体(雌)の方が食品の香りに夢中になり、雄は雌雄同体よりも短時間で食品の香りに対する関心を失ってしまうことが明らかになりました。

こ のメカニズムに関して研究者たちがさらに分析を進めていくと、線虫の感覚神経のAWAという匂いの感覚を司る神経のうち、ODR-10受容体という食べ物 の匂いを受け取る受容体が、雄よりも雌雄同体(雌)に多いことが明らかになり、雌雄同体(雌)のODR-10の働きを抑制すると、食べ物の匂いに敏感にな らないことが確認されました。この結果について研究者らは、このような神経系のメカニズムの違いが男女の行動の違いを生み、男女によって疾患感受性(発症しやすい病気の傾向)が異なることなどが影響しているため、神経系の研究が非常に興味深い研究領域であることを強調しています。

Sex, Age, and Hunger Regulate Behavioral Prioritization through Dynamic Modulation of Chemoreceptor Expression. Current Biology, 2014

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人はグラフやデータがあると簡単に信じてしまう

サプリメントや健康食品のCMやパンフレットには、いかにも効果がありそうな右肩上がりのグラフや、夢のようなダイエットに成功した人の数字が、よく使われています。

そ れは我々が、医学的な数字やグラフなどのデータに弱く、そのデータが確かなものであるかどうかにかかわらず、簡単に信じ込んでしまう傾向があるからで、十 分に注意しなければいけないことが、米国コーネル大学の研究によって明らかになり、2014年10月の『Public Understanding of Science』で発表されました。

研究では、被験者の一般人に、医学的なグラフやデータ入りの説明書付きの薬と、データや数字の裏付けのない説明書付きの薬を見せたとき、グラフやデータ入りの薬に対して効果がありそうだと感じた人は96.6%だったのに対し、データなしの薬は67.7%に留まりました。

この結果について研究者は、データやグラフに対して簡単に信じることは危険で、数字の意味や医学的な裏付けがわからないものを目にしたときは、それが「ただの訳のわからない数字だ」と割り切って考えて、簡単に信じ込まないように注意を喚起しています。

Blinded with science: Trivial graphs and formulas increase ad persuasiveness and belief in product efficacy. Public Understanding of Science, 2014