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地中海式ダイエットは胃がんリスクも低下させる

新年あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。

スペインバルセロナ、カタルニア腫瘍研究所ジュネヴィーヴ・バックランド氏らが12月号の『American Journal of Clinical Nutrition』に発表した研究によると、地中海式の食事は胃がんのリスクを低下させることがわかりました。

この研究はヨーロッパ10カ国から抽出した35歳~70歳までの48万5044人(うち男性が14万5577人)を対象に9年間にわたり、地中海式の食生活の傾向が高いかどうかについて、18項目の質問をして調査されたもの。調査期間に449人が胃がんになりました。

この結果、地中海式の食生活の傾向が強い人はそうでない人に比べて約33%も胃がんのリスクが低いことがわかりました。

これまで地中海式の食事に関して、いろいろなメリットが研究されてきましたが、胃がんのリスクを低下させるという報告は今回が初めてのようす。その因果関係についてさらなる研究が待たれます。

緑茶はうつを予防する

 

12月号の『American Journal of Clinical  Nutrition』に発表された東北大学医学部公衆衛生学講座(辻一郎教授)のタカハシ・ヒデコ氏らの研究によると、緑茶を飲むことで共同生活をする高齢者のうつ的な傾向が低下することがわかりました。

以前から緑茶に、抗炎症作用や抗ストレス作用があると言われていましたが、今回は70歳以上の高齢者1058人を対象に調査を実施。

重度のうつと軽度のうつを分類する30項目の質問をすると、34.1%が軽度のうつ、20.2%が重度のうつという結果に。さらに緑茶を飲む習慣について調べると、「一日1杯未満しか緑茶を飲まない」というグループを1としたときに、「2~3杯飲む」グループは5%、「4杯以上」緑茶を飲むグループは44%もうつになるリスクが低いことがわかりました。同じ傾向が重症のうつでも見られたそうです。

これに関して研究者らは緑茶に含まれるLテアニンにストレス緩和、脳のリラックス効果、心理的苦痛を和らげる効果などがあり、それがうつを予防することと関連しているのではないかと分析しています。

明日は、元旦で緑茶を飲まない習慣の地域もあると思いますので、今日のうちにたくさん飲んで2009年のストレスを緩和して、リラックス気分で新しい年を迎えましょう。

今年一年、お付き合いいただき、ありがとうございました。

 

現代臨書展と熊峰先生と上海万博

2009年という年は、2008年に書道を25年ぶりに再開した私に取って記念すべき年となりました。
前半でいただいた21世紀国際書展の優秀賞に続いて、年末に第42回現代臨書展で佳作をいただきました。
賞をいただいたいのは『唐大宋 温泉銘』という皇帝直筆の石碑の臨書です。

私は創作よりも何より臨書、臨書、臨書、臨書が大好きなので、初の出品で入選して、さらにこの賞をいただけたことは本当にうれしいです。

昔の偉人の残した達筆な文字を模写している時間は、私に取って宝物。澄んだ空気の森の中を散歩しているような、キレイな滝のそばで呼吸しているような、サンゴ礁の美しい海でシュノーケリングしているような…そんな幸せで原始的な気分になるのです。

柔らかい筆を真っ白い半紙に、ていねいに丁寧に滑らしていく快感といったら、喩えようがありません!
 

それもこれも、2008年に出会った恩師、熊峰(ユーホウ)先生のおかげ。ありがとう、熊峰先生!
そう言えば熊峰先生のアトリエ、(TBSの『ぴったんこカンカン』でも紹介されたみたいです)。

そして、熊峰先生は、現在、中国に帰国中。

来年開催される上海万博の日本館の式典で、素晴らしい書のパフォーマンスを披露しました。


中国に出発する前日、クリスマスイブの12月24日、2009年最後の熊峰先生のレッスンで、
先生が上海で行う書のパフォーマンスの練習風景を見せてくださって、ますます書道熱が上がってしまいました。

12月26日の本番で書かれた作品は24日の練習時よりもさらにさらに進化して、練り上げられた細部の筆運びの美しさと、その場の熊峰先生の高揚感が伝わってくる、日本人には真似できない気品にあふれ、繊細なのに、豪放で大胆でもある魅力いっぱいの作品でした。

一度書道の世界を離れてしまい、25年ものブランクがあったけれど、それが逆に「書道を書きたい!」というエネルギーになっているのかもしれません。

2010年も頑張ります!

そして将来は着物姿でヨーロッパの街角で書道パフォーマンスがしたい!!
 

冬は水分不足&脱水に注意

さて2009年も終りが近づいていますが、皆様どのようにお過ごしですか?

年末年始は、帰省する人も多いはず。注意したいのは、移動中の水分不足。

特に高齢者は水分を保持できる量が少ないうえ、喉の渇きに気づかない場合もあるので、こまめに水分補給をしましょう。

渋滞でトレイに行くのが大変…などとお水を飲まないで我慢すると、口の中やのどがかわいて、ウイルスや細菌感染を起こしやすいので、注意しましょう。

またお酒を飲んだ後や塩辛いものを食べた後はそれらを分解・排出するためにいつもより多くの水分が必要です。

水分不足をチェックするには、まず「のどが乾いているかどうか」を感じることですが、その他にも、下記のような症状があれば、水分補給をしましょう。

■体温が上がる、微熱が続く

■皮膚がカサカサする。とくに脇の下が乾く

■爪の先を軽く押したあと、2秒以内で赤みが戻らない

■尿の量が減る(おしっこに行く回数が減る)

 

大気汚染は重症の肺炎リスクを高める

 

カナダオンタリオ州のマクマスター大学マーク・ローブ博士らが、『American Journal of Respiratory and Critical Care Medicine』に発表した研究によると、二酸化窒素、二酸化イオウ、微小粒子状物質(粒経2.5μm未満の粒子)などが、高齢者の重大な肺炎などのリスクを高めていることが判明しました。

以前から大気汚染は喘息、肺の慢性疾患、呼吸器不全などと関連があることは指摘されていましたが、高齢者の肺炎との関係はあまり指摘されていませんでした。

これは2003年から2005年の間に、大学のあるオンタリオ州ハミルトンの65歳以上の肺炎患者395人と、健常者494人の居住地域などを比較研究したもの。

ハミルトンは鉄鋼を中心とした工業地帯があるそうです。

研究者によると、長期間二酸化窒素と微小粒子状物質に汚染された可能性が高いエリアに居住している人はそうでない人に比べて、重傷の肺炎になる可能性が約2倍も高いことが分かったそうです。(二酸化窒素は2.3倍、微小粒子物質は2.26倍)。

結果について博士らは、二酸化窒素が上皮細胞を傷つけてしまう性質を持つことから、これによって肺の粘膜絨毛による外敵からの防御力を低下させてしまい、気管支内のマクロファージやNK細胞の減少を引き起こし、最終的には細菌感染を起こしやすくなって肺炎を起こすリスクも高まってしまうと考えられるそうです。

ただし今回の調査では室内の空気の環境や自動車による大気汚染など、大気汚染の汚染源については調査していないとのこと。

Primary source: *American Journal of Respiratory and Critical Care Medicine
Source reference:
Neupane B, et al "Long-term exposure to ambient air pollution and risk
of hospitalization with community-acquired pneumonia in older adults"
/Am J Respir Crit Care Med/ 2009; DOI: 10.1164/rccm.200901-0160oc
<http://ajrccm.atsjournals.org/cgi/content/abstract/181/1/47>

二酸化窒素は、高温でものを燃やすときに、空気中の酸素と窒素が結合してできるのだったと思います。

二日酔いで運転テクが低下する

二日酔いの状態で自動車を運転すると、注意力と機敏性が落ちて、運転技術が低下することが『Alcoholism:Clinical Experimental Research』のオンライン版で、ブラウン大学ダマリス・ローセナウ教授らが発表しました。

前日の夜にかなり深酒をして二日酔いの状態の場合、注意力が低下して渋滞などで事故を起こすリスクが高くなることを自覚して欲しいと博士は述べています。

またお酒を飲みすぎると、睡眠の質も低下してしまうことも今回の研究でわかりました。

さらにアセトアルデヒド、タンニン、フーゼル油、フルフラールなど、バーボンにはウォッカの約37倍の有毒性のある発酵による副産物成分が含まれるということもわかりました。

これによって、ウォッカよりもバーボンの方が、二日酔いによる運転技術の低下を招きやすくなるのかもしれないと博士らは推測します。

飲酒してから8時間以上経ったとしても、お酒が抜けきれずに睡眠不足もあって、注意力が低下して事故を起こしやすい状態であることをしっかり自覚しておきましょうね。

Primary source: Alcoholism: Clinical and Experimental Research

運動は大腸がんの死亡リスクを低下する?

アメリカのDana-Farber Cancer Instituteの研究員が、12月号の『Journal of Internal Medicine』に報告した研究内容によると、男性で直腸結腸がんと診断された人で、定期的に運動を続けている人は、そうでない人に比べて、約50%も大腸がんで脂肪するリスクを低下、がん以外の死亡リスクも、運動をしない人に比べて41%も低下しているそうです。

このメリットは、年齢、がんと診断されてからの時間、BMI、がんの進行、がんの場所などに関係なく、運動をすることによって見られたということです。

しかし運動自身がメリットをもたらしているかどうかは不明で、運動を日常的に行うことによって、タバコを辞めたり、食事に気を使ったりすることの相乗効果もあると予想しています。

この研究は668人のがんの進行ステージⅠ、Ⅱ、Ⅲの人を対象に、ウォーキング、ヨガ、自転車などの有酸素運動で強度の低い運動を専門家の指導のもとで継続的に行なってもらった結果をもとに分析したもの。

しかしながらがんの患者さんは外科手術や放射線治療で運動することができない場合も多く、がん患者のための運動法(時間やタイミング、運動のメニューなど)について、さらに詳しい検証が必要とされるようです。

*Primary source: *Archives of Internal Medicine
Source reference:
Meyerhardt JA, et al "Physical acticity and male colorectal cancer
survival" /Arch Intern Med/ 2009; 169, No. 22.

 

テレビを長時間みると太る

  
 
アメリカスタンフォード大学ジェニファー・オッテン博士らが『Archives of Internal Medicine』に発表した研究によると、テレビを観る時間を減らすことで、消費エネルギーが増えて肥満の改善につながるかもしれないとのことです。

肥満解消には、食事制限や運動療法などが主流に考えられていますが、座ってばかりいる生活を改善することも大切だということです。

アメリカの大人のテレビ視聴時間は1日5時間だそうです。
アメリカ人って、すごくよくテレビを観ているのですね~~)

オッテン博士らは36人の平均年齢42歳で70%が女性、BMI25~50の被験者を3週間観察しテレビ視聴時間、睡眠、エネルギー消費量などを測定しました。

その後、この観察グループを2つに分けて、テレビ視聴時間を半分にするグループと、現状のままのグループに分けて観察。

その結果、テレビ視聴時間を半分にしたグループは一日の摂取カロリー量が125キロカロリーに減少(テレビ視聴を制限しないグループは38キロカロリーの減少)するという結果がみられました。

さらに体重やBMIなどもわずかばかり減少していることも判明。

被験者の数や観察期間に制限があり、今後さらに人数を増やして長期的に観察する必要があるものの、テレビ視聴と肥満は大いに関係があるような結果となりました。

Primary source: Archives of Internal Medicine
Source reference:
Otten J, et al “Effects of television viewing reduction on energy intake and expenditure in

増える?! アルツハイマー型認知症

認知症の高齢者の数は

1995年が、126万人

2000年が、156万人

2005年が、189万人

2010年が、226万人

2015年が、262万人

2020年が、292万人

さらに、85歳以上の高齢者の27.3%が認知症なのだそうです。

研究も少なく、認知症のメカニズムを知られていなかった80年代までは、「認知症の多くは脳血管の障害によるもの」と考えられていました。つまり、脳の血管が切れたり、詰まったりして、脳の細胞が低酸素、無酸素状態で壊死して機能しなくなったと考えられたのです。

しかし、認知症の診断基準の確立や、脳のMRIなど、画像診断の技術の発達、認知症の病態研究が盛んになったこと、早期発見・早期診断・介入することで、認知症の進行を遅くする治療が発達したことなどで、認知症薬物療法も徐々に浸透しているようです。

現在アルツハイマー型認知症の治療薬として一般的に用いられているのが「塩酸ドネペジル」。商品名は「アリセプト」です。

アルツハイマー病の人は,脳の神経と神経の情報を伝達する役割を持つ「アセチルコリン」という物質が減少することで、短期記憶に問題が生じると考えられています。

「塩酸ドネペジル」は、アセチルコリンが分解されるのを邪魔して、アセチルコリンの量を減らさないようにする薬です。

この塩酸ドネペジルによって、アルツハイマー型の認知症の進行を遅らせたり、患者の抑うつ状態、患者と介護者のQOLが改善することが、公益社団法人地域医療振興協会地域医療研究所地域医療研修センター副センター長の八森淳先生の研究でわかってきました。

例えば、服を着る、ボタンをかける、、歩く、食事をする、不安、痛みや不快感などに関しても薬の服用によってわずかながら、改善が見られたそうです。

八森先生の研究でおもしろかったのは、塩酸ドネペジル投薬治療の経済効果を測定するという試み。

その結果、患者と介護者に、年間約120万円以上のプラスの経済効果をもたらすという結論でした。

社会(社交)不安障害の診断

社会(社交)不安障害(SAD)は、人から見られたり、注視されたりすることに、恐怖心を抱き、何か失敗して恥をかいたり、恥ずかしい思いをするのではないかと、持続的に恐怖心を持ち続けてしまう状態のこと。

それが原因で毎日の生活や仕事など社会生活全般に支障が生じて、学校や会社に行けなくなったり、外出することも困難になる場合があります。

さらに、そんな状況を自分自身で攻めてしまい、強い苦痛を感じながら生活する人も多いそうです。

次の4つにすべて当てはまれば、社会(社交)不安障害の可能性があります。

□ この1ヶ月、人から見られたり、注目を浴びることに恐怖や戸惑いを感じたり、恥をかきそうな状況を恐れたりしましたか?

(これは人前で話をしたり、人前で食事をしたり、他人と食事をしたり、誰かに見られているところで字を書いたりといった、社会的状況に対する恐怖を指しています)

□ その状況について、自分でも怖がりすぎているとか、常軌を逸していると感じていますか?

□ その状況は、わざと避けたり、じっと我慢しなければならないほど怖いものですか?

□ その恐怖により、あなたの通常の仕事や社会生活が妨げられていたり、それにより著しい苦痛を感じていますか?

Sheehan DV et al (大坪天平ほか 訳):M.I.N.I.精神疾患簡易構造化面接法2003;星和書店、東京

以前は「社会不安障害」と言われましたが、2008年の日本精神医学会で、「社交不安障害」に名称が変更されました。