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健康にいいのはモーツァルトより波の音?
モーツァルトのセレナーデよりも、浜辺の波打ち際の波の音のほうが、高齢者の高血圧の症状を和らげる効果が高いかもしれないという発表が、2008年9月に米国アトランタで行われたアメリカ心臓学会の高血圧研究会議において、シアトル大学のシン・イ・タン博士らによって発表されました。
使用された波音のプログラムは、副交感神経の働きを沈静させて、血管を拡張させることで、スポーツ選手の疲労回復、顎関節の痛み、慢性的な痛み、がん患者の緩和治療などとして用いられているもの。
12分間のCDでは、穏やかな波の音がゆったりと流れる中で、男性の声で深い深呼吸ができるように指導しています。
このCDと、モーツァルトの交響曲第13番ヘ長調 K112、交響曲第35番二長調K250(ハフナー)のアンダンテ部分を聞き比べする実験を行いました。
実験は、精神的に健康で老人ホームに住む降圧薬を服用する高血圧の老人を対象に4週間行われました。
その結果、収縮期血圧で比較すると、モーツァルトを聞いたグループが、6mmの血圧低下だったのに対し、波音のグループは、9mmの低下が見られました。
ほかの研究結果では、5mmの収縮期血圧の低下は、脳卒中による死のリスクを14%、冠状動脈性心臓病疾患による死のリスクを9%も低下すると報告されていることから、波音のプログラムがより効果的に高血圧の人の血圧低下に効果を発揮することを指摘しています。
ただし、実験中におもしろかったこととして、数人の波音を聞いていた実験参加者が、血圧が低下したにもかかわらず、モーツァルトに変えて欲しいと訴えたそうです。
博士らは、世の中のリラグゼーション音楽といえば、モーツァルトが定番になっていますが、ほかの音楽や音にも、モーツァルトと同様かそれ以上の効果を持つものがあるかもしれないことを指摘しました。
Tang H-Y, et al”A randomized Trial of Music versus Audio-guided relaxation Training to Decrease Blood Pressure in an Elderly population”AHA-BP 2008;AbstractP037
■■この実験に使われたハフナーという曲は、モーツァルトのセレナーデの中でも祝賀曲だし、もっとゆったり落ち着く選曲をすれば、やっぱり波よりもモーツァルトのほうが、リラックスするような気がしますが…。(ちなみに私はモーツァルト好きです)
結局、自分がリラックスできる曲を見つけておくことが大事だという結論でしょうね。
タバコは目の健康にも悪影響
タバコの健康への害については、肺がん、心臓病、異常妊娠・分娩、脳卒中などが知られていますが、白内障、加齢黄斑変性症などの失明の危険がある目の病気にも関係があることはあまりよく知られていないようです。
ノバルティスファーマが全国の40歳以上の男女600人を対象に2009年4月に実施した調査によると、「喫煙が危険因子とされる疾患への認知率」は、肺がんが99.8%、肺気腫・COPD、妊婦の早産、胎児の発育異常はそれぞれ90.8%だったのに対し、加齢黄斑変性症は19.6%、糖尿病網膜症が18.2%、白内障が13.5%にとどまり、喫煙が目の病気に及ぼす影響について、あまり知られていないことがわかりました。
加齢黄斑変性症は、目から入った光の刺激を感じ取って、視神経に介して脳に情報を送る網膜の中心部分にある黄斑に、新しい血管が増殖したり、逆に血管が萎縮することで、視力の低下が起こる状態です。
アメリカでは、中途失明の原因のトップ。
日本でも最近では、50歳以上の0.87%に加齢黄斑変性症が見られ、男性は女性の約3倍、喫煙者は非喫煙者の2.2倍、それぞれ有病率が高いことも、疫学調査でわかっています。
中学生と心の病気
日本イーライリリーが2008年11月~12月に首都圏の公立中学校を対象に行った調査(507校にアンケートを郵送した結果、163校が回答/回答者は養護教員が92.5%)によると、「こころの健康状態に何らかの問題を持つ生徒がいる」と回答したのが98.7%にのぼり、約半数が「こころの健康状態に問題を持つ生徒が増えている」と回答。「過去3年間にうつ病と診断された生徒がいる」と回答したのが37.3%でした。
増加傾向にあると思われる生徒の特徴としては、
■自分に自信の持てない生徒(64.1%)
■ストレスや悩み事を抱えている生徒(64.1%)
■集中力が持続しない生徒(59%)
■イライラしやすい生徒(51.9%)
■意欲のない生徒(48.1%)
■不登校の生徒(48.1%)
■乱暴な言葉遣いの生徒(39.7%)
■困ったときに相談できる相手のいない生徒(39.7%)
■表情が乏しい生徒(30.8%)
■うつとはいえないが、抑うつ状態の生徒(30.8%)
の順でした。(有効回答数=156/複数回答)
さらにショッキングなのは、「過去3年間に自殺の悩みを相談された」に対しては46.5%もあると回答し、そのうち75%が生徒から相談を受けたと回答しています。
現状の授業で「こころの病気」について学ぶ場合は、「薬物依存症」(81.8%)や「アルコール依存症」(68.2%)がほとんどで、「うつ病」にかんしてはわずか9.1%にとどまりました。
「うつ病に関して授業で取り上げるべき」と回答した人は61.5%に上り、「薬物依存」の63.8%の次に多く、授業で取り上げる必要性を感じていました。
しかし実際には、「授業の必要性は感じるが、どう教えたらいいかわからない」「教えられるほどの知識や情報を持っていない」などの意見が多く、「適切な教材があれば、学校の授業で扱いたい」という意見が多数集まりました。
コーヒーオリゴ糖って?
コーヒーには、
①覚醒作用や利尿作用のある「カフェイン」、
②抗酸化作用のあるポリフェノールの一種である「クロロゲン」、③皮膚や粘膜をつくり、糖や脂肪の代謝、性ホルモンやインスリンの合成に欠かせないビタミンである「ナイアシン(ニコチン酸)」、
そして最近では
④コーヒー豆のカスに、腸内細菌のえさとなって、腸の働きを整える「コーヒーオリゴ糖(コーヒーマンノオリゴ糖)」が含まれていることが味の素ゼネラルフーズ(AGF)の研究で発見されました。
コーヒーオリゴ糖の特徴は
①わずかに苦味のあるまろやかな甘み(砂糖の1/5の甘さ)
②ほかの食品に混ぜると、苦味や塩味、酸味、甘みなどさまざまな味を調える
③水に溶けやすい
④熱、酸、光などによって、変質しにくく安定していて、分解を起こさないので保存ができる
⑤カロリーが砂糖の約半分
⑥体内で消化されにくく、小腸の粘膜では96%が残存しており、腸内細菌のすむ大腸まで到達して、善玉菌のエサになることができる
⑦10数種類あるオリゴ糖の中でも、ビフィズス菌など善玉菌の栄養源にはなるが、大腸菌やウェルシュ菌などの悪玉菌には食べられないので、悪玉菌を増やさない。
コーヒーオリゴ糖の研究データをいくつか紹介すると
①コーヒーオリゴ糖を1日1g、2週間摂取したところ、便中のビフィズス菌の量が、摂取前は9%だったのに対し、摂取後は31%に上昇。排便回数・排便日数ともに増加した。
②BMI25以上の被験者48人に、コーヒーオリゴ糖入りのコーヒー飲料を300mlずつ12週間飲んでもらったところ、腹部皮下脂肪量が19.4平方cm減少した。
③コーヒーオリゴ糖3グラム入りのコーヒーを1日1回、一週間飲用させたところ、1日に排泄される脂肪量が、通常のコーヒー飲料を飲んだときと比べて約2倍多くなった。
④高血圧ラットの実験で、コーヒーオリゴ糖投与によって、収縮期血圧が低下した。さらに、血圧上昇の引き金になるアンドロステロン(副腎皮質から分泌するホルモンで、血圧を上昇させる要因になるナトリウムイオンの吸収を促進する)が減少していたことが判明。これは、腸内の善玉菌がつくる酢酸(プロピオン酸)が増えることによって、血管の筋肉(血管平滑筋)を収縮させ、血管を狭くして血圧上昇を招くカルシウムを、より多く吸収するからではないかと考えられる。
コーヒーオリゴ糖はコーヒーとの相性もよく、コーヒーオリゴ糖入りのコーヒー飲料なども販売されています。
肌に浸透しやすい最新型ビタミンC誘導体「イソステアリルアスコルビルリン酸2Na」
紫外線の刺激で発生したメラニン色素や活性酸素を除去するには、抗酸化力の強いビタミンCを補給することが知られています。
しかし、肌からビタミンCを塗っても、皮膚細胞に浸透しません。そこで開発されたのがビタミンC誘導体です。
ビタミンC誘導体は、私たちの皮膚表面を覆う皮脂にもよくなじんで、皮脂のバリア機能に邪魔されずに、皮膚に浸透するように開発されています。
最近の改良型ビタミンC誘導体は、さらに表皮にある酵素「フォスファターゼ」の力で、ビタミンCに分解され、効率よく肌にビタミンCを届けます。
その中でも「イソステアリルアスコルビルリン酸2Na」は、ほかのビタミンC誘導体に比べて、格段に高い抗酸化力があるとも言われています。(ほかのビタミンC誘導体に比べて、約200倍も浸透効率がいいと言われています)
冬は空気の乾燥などから肌の保湿対策をしっかり行う人も増えているようですが、梅雨や夏は、じめじめと湿気を帯びて汗もかきやすいので、ついうっかり肌の保湿を忘れてしまいがち。
しかし、夏の肌は、冷房と灼熱の太陽に下を行き来する生活で、皮膚表面の水分が蒸発しやすく、汗を拭いたり、シャワーを浴びたりすることから、皮膚表面が刺激されやすく、角質層がはがれた状態になる人が多いものです。
このような夏の肌乾燥を防ぐためにも、イソステアリルアスコルビルリン酸を配合した化粧水などを使って、たっぷりと保湿スキンケアを行ないましょう。
免疫力がアップする入浴は40℃20分
ツムラライフサイエンス石川泰弘さんによると、免疫力をアップしてストレスや不調・病気に負けない体をつくるには、40℃、20分以上の「ぬるめの長湯」で、体の芯から温まり、ヒート・ショック・プロテイン(HSP)という、温熱によって発生するタンパク質を増やすことが効果的なのだそうです。
私たちの体で発生するHSPには、数百種類があり、体にいい種類と、悪い種類があります。体にいい種類のHSPは、細胞を修復したり、ナチュラルキラー(NK)細胞を増やして免疫力をアップしたり、コラーゲンの産生を高めて肌の弾力をアップすることが知られています。
HSPは、文字通り、熱ショックによって発生するもので、種類によっては、37℃程度で発生するものもありますし、42℃にならないと発生しないものもあります。
しかし私たち人間は恒温動物ですので、急激に肌表面に熱のストレスを加えても、すぐにその熱が細胞に到達して、HSPが発生し、細胞修復を始めるとは考えにくいのです。
そこでツムラライフサイエンスと愛知医科大学核医学センターが調査を開始。
42℃で5分入浴した時と、40度で20分入浴した時を比較してみると、舌下温が42℃では36.4℃→37.1℃、40℃では36.3℃→38.4℃で、HSPの増加についても、40℃20分の入浴のほうが多く発生していることが判明しました。
ここで注意したいのはHSPは、熱ショックを受けてから、24時間~48時間後に最も多く発生すること。
つまり、入浴後の「湯冷め」で体を冷やさないようにして上昇した体温を保っていることがより入浴による免疫力アップの効果を高めるコツです。
また、「ぬるめの長湯」によって、普通の人では約500ccの汗をかきますので、入浴中、入浴後も水分補給をしっかり行いましょう。
チョコレートを食べる罪悪感と体型への不満
②「チョコレートのことを考えないようにしようとする」などチョコレートを避ける態度
③「チョコレートを食べたあと罪悪感を感じる」など、チョコレートに関する罪悪感
Source reference:
Rodgers R, et al “Chocolate craving, uncontrolled eating and body dissatisfaction: exploring the ambivalence model” APA 2009; Abstract NR5-050.
アメリカのインフルエンザ患者からわかること
約半数の患者しか、タミフルなどの抗ウイルス剤を投与されていないことも判明。
ウイルス感染と高血圧の関係
Source reference:
Cheng J, et al “Cytomegalovirus Infection Causes an Increase of Arterial Blood Pressure” PLoS Pathog 2009; DOI: 10.1371/journal.ppat.1000427.
エストロゲンの減少と中高年女性のメタボ
それまでにはない体の変化を感じるもの。
これには,女性ホルモンのエストロゲンが減少することが関係しています。
エストロゲンは女性らしいふっくらと丸みをおびた胸や
ヒップをつくるために適度に皮下脂肪を蓄えてくれるホルモン。
閉経が近づくとエストロゲンの分泌が減り、その影響で、女性も男性のように、
皮下脂肪よりも内臓脂肪がつきやすくなります。
加齢にともなう脂肪の割合の変化は、女性の場合、
55歳を境に皮下脂肪が減って内臓脂肪が増え、
45歳のときに体全体の46%だった内臓脂肪が、
65歳になると60%にまで増加するという調査データがあります。
中高年女性は、エストロゲンの分泌が減少する閉経を迎えるタイミングで、皮下脂肪よりも、内臓脂肪が増加しやすくなることを知り、それまでの食事や運動などの生活習慣を見直すことが、
メタボリックシンドロームや肥満を予防するために重要です。
また、筋肉量も40歳頃から毎年約0.5%ずつ減少し、これが基礎代謝量を減らして、
ますますやせにくい体にしてしまうのです。
やせやすい体にするには基礎代謝量を高めることが必要で、
そのためには筋肉量を増やして、エネルギーを燃焼しやすい体にする必要があります。
ムキムキになりたくないと筋肉質な体をきらう女性も多いですが、
筋肉は食物から吸収した糖をエネルギーに換えて消費し、
余分な脂肪を蓄積させないようにするほか、
血行促進や体温維持にも欠かせない重要な存在です。
実際にBMI(体格指数)が高く肥満の人ほど
糖をエネルギーに換える力が弱いことがわかっています。
さらに肥満の人とやせ型の人の体質に大きな違いを作り出すのが、脂肪細胞。
脂肪細胞は余分なエネルギーを蓄えるだけでなく、
アディポネクチンやレプチンといった善玉のホルモンをつくる機能を担っています。
しかし脂肪細胞の種類によって、働きは大きく異なります。
メタボ検診で注目されている内臓脂肪は、
脂肪細胞のひとつひとつが異常に大きくなりすぎたもの。
アディポネクチンやレプチンのような善玉ホルモンの分泌が減少し、体に悪いダメージを与える悪玉物質の分泌が増えて、血管や細胞を傷つけます。
お腹のまわりにつく内臓脂肪は、その名のとおり、
臓器の間の腸間膜に付着します。
内蔵の近くに貯蔵されているため、
肥大化した内臓脂肪に蓄えられた中性脂肪は、
肝臓にすばやく取り込まれて、エネルギーとして消費されずに肝臓に溜まり、
肝臓を“フォアグラ状態の脂肪肝”にしてしまいます。
一方で皮下脂肪が蓄えた脂肪は、血管を通じてゆっくり時間をかけて
全身の筋肉に運ばれてエネルギーとして消費されるので、
肝臓や筋肉に脂肪を溜め込む性質はありません。
内臓脂肪がメタボリックシンドローム、つまり代謝異常を起こす
悪玉の脂肪細胞といわれているのはこれが原因です。
前述したとおり、肥大化した脂肪細胞では、
アディポネクチンとそれをうまく働かせるための受容体が
どちらもうまく作れなくなり、脂肪細胞内で炎症が起こります。
この炎症によって、悪玉の分泌物(悪玉アディポサイトカイン)がつくられて血液中に流れ出し、
血管や細胞を傷つけたり、インスリンの働きを悪くすることで、
糖尿病、高脂血症、高血圧などの生活習慣病や動脈硬化を悪化させるリスクを高めます。