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復活祭のウサギチョコ、どこから食べる?

4月16日は『復活祭』。イエス・キリストの復活を祝う日で、ウサギとタマゴがシンボルになっています。これは、野ウサギが生命復活の象徴であるタマゴを、良い行いをした子どもたちに届けるというドイツの昔話に起源があると言われ、現在では、チョコレートで作ったウサギやタマゴが復活祭のご馳走になっています。あまりにかわいらしいウサギの形をしたチョコレートをガブリと食べることに、ちょっとたいめらいを感じる人もいますよね・・・。私もその一人です。医学雑誌『The Laryngoscope』の季節特別掲載記事として紹介されたアメリカの研究によると、復活祭でおなじみのウサギのチョコレートをどこから食べ始めるかについて、インターネットでアンケート調査を行った結果、 28,113人の回答が得られ、そのうち59%が「耳から食べ始める」と回答しています。さらに33%は「特にどこから食べ始めるかは決めていない」と回答し、4%は「尻尾か足から食べ始める」そうです。皆さんはどこから食べ始めますか?

Kathleen Yaremchuk, Vigen Darian, Amy M. Williams. Seasonality of auricular amputations in rabbits. The Laryngoscope, 2017

年を取ると目ヂカラが落ちるワケ

「最近、自撮り写真がキマらない」「まぶたが下がった」「目ヂカラが落ちた」などと気になっている人は、スキンケア不足や目の疲れなどで、目のまわりの老化が進み、本当に目が小さくなっている可能性があります。

化粧品メーカーSK-IIは、美しい肌を持つといわれる秋田県の女性約100名に関して、10年間以上にわたって肌の変化を追跡調査した「秋田肌研究」を実施しています。

その研究に参加した77人のデータによると、20代から目元は小さくなっていき、15年間で約20%も目のサイズが縮小することが明らかになりました。

目が小さくなると、見た目が老けた印象になります。年齢とともに少しずつ目ヂカラが衰えてしまうのは、ある程度は仕方がないことですが、次のようなポイントに注意しながら生活することで、少しでも目が小さくならない、そして目ヂカラが弱くならないように維持することができます。

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慢性的なストレスが肥満を招く

英国ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンの研究で、長期間ストレスにさらされている人は、肥満になるリスクが高いことが、2017年2月の『Obesity』で発表されました。

この研究は54歳から87歳のイギリス人の男女2527人のデータを分析したもので、ストレス度に関しては、血液、尿、だ液ではなく、被験者の毛髪を2cm採取して、毛髪に含まれる「コルチゾール」を測定したもの。コルチゾールは、ストレスの指標になる物質として注目されていますが、毛髪に含まれるコルチゾールは、長期的なストレスの指標として知られています。

調査データを分析した結果、 BMI(30以上)または胴囲(男性で102cm以上、女性で88cm以上)の人は、毛髪のコルチゾールレベルが高く、慢性的なストレスにさらされていることが明らかになりました。

研究者らは、今回の研究は被験者が中高年以降に限られており、20~40代の若い世代の調査を行う必要があり、さらに、慢性的なストレスと肥満の因果関係についても、科学的に研究を進める必要があると述べています。

●出典
Sarah E. Jackson, Clemens Kirschbaum, Andrew Steptoe. Hair cortisol and adiposity in a population-based sample of 2,527 men and women aged 54 to 87 years. Obesity, 2017; 25 (3): 539 DOI: 10.1002/oby.21733

脂肪燃焼を引き起こす脳ホルモンを発見~肥満治療薬への応用に期待

米国スクリプス研究所の動物モデルを使用した研究によって、生物の体内で脂肪燃焼を引き起こす物質を特定し、その成果が2017年1月の『Nature Communication』に発表されました。これまでの研究で、神経伝達物質「セロトニン」が脂肪燃焼を促進することが明らかになっていましたが、そのメカニズムに関しては不明でした。
スクリプス研究所の研究員らは、線虫を用いて、脳のセロトニンと脂肪燃焼を引き起こす経路を突き止めようと試みました。その結果、FLP-7(フリップ7)という物質が、セロトニンによる脂肪燃焼促進に関係していることを突き止めました。このFLP-7という物質は別名「タキキニン」とも呼ばれ、哺乳類の腸の収縮を促進させる働きがあることが、80年以上も前から明らかになっており、脳と腸をつなぐ物質の1つだと考えられていました。今回の研究では、FLP-7がセロトニンレベルの上昇に応答して、脳内のニューロンから分泌されたことを明らかにしました。 さらにその後、FLP-7は循環系を介して、食物摂取の影響を受けることなく、腸内の脂肪燃焼プロセスを稼働させました。さらにFLP-7は腸の受容体細胞を活性化し、腸は脂肪細胞をエネルギーに変換し始めたということです。FLP-7、別名タキキニンは、痛み、辛み、熱の刺激などを脳に伝えたり、脳から血管や腸へ指令を出す神経伝達物質で、血液を介して全身に運ばれて、血管の拡張や腸の運動を促進することが知られており、今回の研究成果によって、新たな肥満治療薬の開発などへの応用が期待されています。

●出典

Lavinia Palamiuc, Tallie Noble, Emily Witham, Harkaranveer Ratanpal, Megan Vaughan, Supriya Srinivasan. A tachykinin-like neuroendocrine signalling axis couples central serotonin action and nutrient sensing with peripheral lipid metabolism. Nature Communications, 2017; 8: 14237 DOI: 10.1038/ncomms14237

悲観的な人は心臓病の死亡率が高い

fr196_lフィンランドの研究で、悲観的な人は、冠動脈精神疾患(CDH)による死亡リスクが高いことが明らかになり、2016年11月の『BMC Public Health』に報告されました。

この研究は、フィンランド人の男女2267人を対象に11年間の前向きコホート研究結果を分析したもので、特に精神的健康とCDHのリスクについて分析しました。

その結果、悲観主義的な傾向を持つ人がCDHを発症して死亡するリスクは、悲観的ではない人に比べて、2.2倍も高いことが明らかになりました。

●出典

BMC Public Health. 2016 Nov 17;16(1):1124.

睡眠不足で甘い物、脂っこいものが食べたくなるメカニズム

dn054_lストレスは霊長類で最も発達し、脳全体の3分の1を占める「前頭前皮質」に影響を与え、感情や衝動を抑制している前頭前皮質の支配力を弱めることで、不安感が強くなったり、欲望にまかせた暴飲暴食、薬物乱用、お金の浪費など、ふだんは抑え込んでいる感情が抑制できなくなり、人間としての高度な精神機能を奪ってしまうことがさまざまな研究で指摘されています。
2011年の米国エール大学の研究では、標準体重と肥満体重の被験者を、危険でないレベルの低血糖状態にして、食欲の変化、脳の動きについて調べました。その結果、体重に関係なく、低血糖状態になると、高カロリーの食品が食べたくなる欲求が高まり、肥満のある人は特に食欲の衝動を抑制できない状態に陥ってしまうことが明らかになりました。これには、 低血糖で血中のブドウ糖が不足すると、ヒトの脳で食欲をコントロールしている前頭前皮質が活性化されなくなることが関係していました。さらに肥満がある人の脳では、低血糖状態が解消されても、前頭前皮質の働きが活発にならず、食欲を抑制できないことも判明し、2011年の『Journal of Clinical Investigation』で発表されています。
●出典 J.clin.Invest. 2011;121(10):4161–4169. doi:10.1172/JCI57873.
さらに2016年11月の科学雑誌『eLife』に掲載された筑波大学のマウスを用いた研究によると、睡眠不足の状態になると、食欲を抑制する脳の前頭前野の神経活動の不活性化が起こり、糖質や脂質などを多く含む不健康な食べ物への欲求が高まり、過食を引き起こしていることがわかりました。
●出典 eLife DOI: doi.org/10.7554/eLife.20269

遺伝リスクを告知しても糖尿病予防には役立たない

英国ケンブリッジ大学の研究で、糖尿病発症の遺伝的リスクなどを、生活習慣の改善アドバイスとともに告知しても、糖尿病を発症してない人の行動は変化しないことが明らかになり、2016年11月の医学雑誌『PLOS Medicine』に報告されました。

この研究は1950年~1975年生まれの成人約569人を対象として行われ、被験者全員が糖尿病の診断を受けたことがないか、糖尿病以外の慢性疾患ではない人でした。

そして、被験者を、糖尿病予防についての生活習慣上の注意点のみを説明したグループと、生活習慣糖尿病発症の遺伝リスクがあることが推定されることを告知したグループの2つのグループに分けて、8週間後の身体活動を6日間観察しました。

その結果、2つのグループに、行動変容の差異はほとんどなく、糖尿病発症の遺伝的リスクを告知することは、被験者の身体活動の増加などの、糖尿病を予防・改善するようなプラスの行動変容に結び付かないことが、告知をしないグループとの比較で明らかになりました。

fn011_l出典

Godino JG, van Sluijs EMF, Marteau TM, Sutton S, Sharp SJ, Griffin SJ (2016) Lifestyle Advice Combined with Personalized Estimates of Genetic or Phenotypic Risk of Type 2 Diabetes, and Objectively Measured Physical Activity: A Randomized Controlled Trial. PLoS Med

低カロリー甘味料は内臓脂肪を増やす!

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米国の「ボルチモア老化縦断研究」という1958年に米国国立老化研究所がスタートさせた長期縦断的疫学研究として世界的に評価の高い研究データをもとに分析した結果、低カロリーの人工甘味料の長期的な飲用は、高齢者の内臓脂肪の増加に結び付き、体重管理の有効な手段ではない可能性があることがわかり、2016年11月の医学雑誌『PLOS One』に掲載されました。

この研究は、男性741人、女性713人、合計1454人を対象に、1984年から2012年まで、10年以上にわたり、追跡調査した結果によるもの。このうち、669人が低カロリー甘味料を使用していました。

分析結果によると、低カロリーの甘味料を使用していたグループは、使用していないグループに比べて、平均BMIがほぼ1 kg/m2、胴囲は平均して2.6cm大きく、腹部肥満の発生率は53%高いことが判明しました。

この結果について研究者らは、低カロリー甘味料が、内臓脂肪の増加や沈着を促進させてしまうような悪い働きを持っている可能性があることが、この結果から推察され、低カロリー甘味料が、体重管理のツールとして適切ではない可能性があることを指摘しています。

●出典
PLoS One. 2016 Nov 23;11(11):e0167241
Chronic Low-Calorie Sweetener Use and Risk of Abdominal Obesity among Older Adults: A Cohort Study.

社会的な絆が乳がんの再発率や死亡率を下げる

cancerwoman歌舞伎俳優の市川海老蔵さんの妻、小林麻央さんが、自らが乳がんの闘病中であることを発表し、ブログで闘病中のようすを公開していることが話題になっています。ブログでは闘病中の苦しみ、焦燥感とともに、夫、家族、友人に励まされ、模索しつつも自分のペースをつかみ始めて、前向きに治療に取り組む様子が生き生きと綴られており、たくさんの読者からの励ましの声や応援メッセージが届いています。

がんになったことを発表する著名人は少なく、「勇気ある決断」と小林麻央さんの姿勢に注目が集まっていますが、実は、病気を隠すために、社会的な絆を断ち切ってしまうよりも、より多くの絆でつながり続けることが、乳がん患者さんの再発率を下げ、生存率を高めていることが、研究成果として科学的に明らかになりました。

米国カリフォルニア州にあるカイザーパーマネント研究所が、 カリフォルニア州、ユタ州、オレゴン州、アリゾナ州、テキサス州、上海に在住の9267人の乳がん患者の女性を対象に、運動、食生活、体重管理、社会的要因など、乳がん発症以後約2年間のさまざまな生活習慣要因が、乳がん患者の女性の生存率や再発率にどのような影響を及ぼしているかを調査しました。その結果、家族、配偶者、友人、地域社会との絆など「社会的な絆(結びつき)」が強いグループは、社会的に孤立して社会的な絆(結びつき)が弱いグループに比べて、乳がんの再発率が低く、生存率が高いことが明らかになり、2016年12月の米国癌学会の学術誌『Cancer』で発表されました。

Cancer, 2016; DOI: 10.1002/cncr.30440

SNSは長時間、多数のメディアを使うとうつ病リスクを高める

米国ピッツバーグ大学の研究発表によると、ソーシャルメディアに費やす時間が長いほど、うつ病になるリスクが高まることが、2016年3月の科学雑誌『Depression and Anxiety』に報告されました。

av070_lこれは19歳~32歳までの米国人の男女1787人を対象に行った調査によるもの(女性が50.3%、白人が57.5%)。参加者は、1日平均61分間、ソーシャルメディアを使い、メディアへのアクセス回数は週に30回でした。

ソーシャルメディアに費やした時間が最も長いグループは、最も短いグループに比べて2.7倍も、うつ病の発症リスクが高いことが明らかになりました。

さらに研究者らは、2030年までには、ソーシャルメディアの使いすぎが、先進国の人々の精神疾患の原因の第1位になるだろうと予測しています。

さらに、同じ研究を深く分析した結果が、2016年12月に報告されました。
ソーシャルメディアに費やす時間よりも、たくさんの種類にアクセスすることが、よりうつ病リスクを高めるということです。

前の調査では、被験者の使っているソーシャルメディアの種類まで調べてあり、主なものは、Facebook, YouTube, Twitter, Google Plus, Instagram, Snapchat, Reddit, Tumblr, Pinterest, Vine、LinkedInでした。

分析結果によると、これらのソーシャルメディアを、7~11種類使っている人は、2種類以下しか使っていない人に比べて、3.1倍もうつ病になるリスクが高いということです。

この結果について、うつ病を診断する際に、医師が患者のソーシャルメディアの使用頻度を知っておくことも、診断や治療に役立つことを示唆していると分析しています

Liu yi Lin, Jaime E. Sidani, Ariel Shensa, Ana Radovic, Elizabeth Miller, Jason B. Colditz, Beth L. Hoffman, Leila M. Giles, Brian A. Primack. ASSOCIATION BETWEEN SOCIAL MEDIA USE AND DEPRESSION AMONG U.S. YOUNG ADULTS. Depression and Anxiety, 2016